王者に慢心はない。ソフトバンクは5日の日本ハム戦(みずほペイペイ)に7―5で競り勝ち、5連勝を飾った。2位・西武とのゲーム差は「8」に広がり、貯金は今季最多の「28」。97試合目で優勝マジック「37」が点灯し、最短優勝は今月30日となった。異例の速さでリーグ3連覇への道筋が見えても、浮ついた空気はなかった。
5―5の8回、決勝の5号2ランを放った野村勇内野手(29)にも笑顔はなかった。胸に残ったのは、2イニング前の守備だった。5―2の6回。2番手の津森が二死一、二塁で郡司を三ゴロに打ち取り、チェンジかと思われた。ところが、野村の一塁送球が本塁側へそれてセーフ。押し出し四球と適時打で一気に同点とされた。
自らの一振りで勝負を決めても、小久保監督は「名誉挽回になってない」とキッパリ。「この世界は守備、特にスローイングは捕ったら安心という状況じゃないといけない」「あの年齢からチャレンジするのは難しいと思うけど、自分で打破するしかない」と厳しかった。マジックが点灯しても課題を曖昧にしない。妥協なき姿勢こそ、驚異的な強さの源だった。
形だけを見れば「汚名返上の決勝弾」。だが、試合後の野村は本塁打について淡々と答え、守備には「改善方法を探します」とポツリ。「勝ったは勝ったけど、本当に大津と津森に申し訳ない」と神妙な表情を崩さなかった。
先発の大津はプロ初の2ケタ勝利をかけ、5回2失点で白星の権利を持って降板した。だが、野村のミスをきっかけに10勝目は消滅。津森も今季34試合に登板し、防御率1・44と躍動している。わずかな歯車の狂いが調子を左右するプロの世界だけに、野村が「同点に追いつかれた」という事実を重く受け止めるのも無理はなかった。
首脳陣からは「勝ちを消してしまった責任は誰もがわかっている。だからこそ勝ってもそういう思いは付きまとう」と背番号99をおもんぱかる声も上がった。勝ってなお自らを律し、反省を成長へ変える。その積み重ねが、小久保ホークスを隙のない絶対王者へ押し上げていく。












