「岡田の遺産」は食いつぶされてしまったのか。セ首位・阪神は14日の中日戦(甲子園)に0―6で完敗し、泥沼の連敗は今季ワーストを更新する6まで伸びた。56イニング連続で適時打なしと深刻な打撃不振に陥る虎は、3戦連続の零封負け。それでもデッドヒートを繰り広げる2位・巨人が同日敗れたため、0・5ゲーム差は変わらず何とか首位陥落を免れ、優勝マジックも15に減った。黄金時代の虎打線は、よりにもよって勝負の9月で、なぜこうなってしまったんや――。
0―4で迎えた9回に虎5番手ドリスが致命傷となる2点適時打を浴びると、虎党も一斉に帰宅の途についた。試合後の藤川球児監督(46)は「ベストは尽くそうとしています。必ず(流れが)こちらに来る時がある」と声を絞り出した。
打線がつながらないからこそ、森下、佐藤、大山ら中軸勢は「俺が決めなければ」とばかりに大振りも目立つ。指揮官のタクトもここ数戦は裏目に出てばかり。悪循環の渦にチーム全体がのみこまれ、貯金ばかりがすり減っていく。
連覇へ向けた戦いが正念場を迎える中、気になる数字がある。「四球」だ。岡田彰布前監督(68=現オーナー付顧問)が就任した2023年、阪神のチーム四球数はリーグでダントツの494個。「四球もヒットと同じ」とナインに説き、査定にまで反映させた〝岡田イズム〟は同年のリーグ優勝、日本一を支えた武器の一つだった。
ところが、その数字は24、25年の441個を経て、今季はさらに減少。ここまでのペースを143試合に換算すると430個前後にとどまり、23年から60個以上少なくなる計算だ。
23年当時から虎打線の上位は近本、中野、森下、佐藤、大山でほぼ固定されてきた。5人の四球率(BB%=四球÷打席)の推移を見れば、その輪郭はより鮮明だ。
(1)近本 23年=11・45% 26年= 8・43%
(2)中野 23年= 8・64% 26年= 6・48%
(3)森下 23年= 7・69% 26年=10・31%
(4)佐藤 23年= 9・85% 26年=11・36%
(5)大山 23年=15・84% 26年=10・64%
ここ数年でリーグを代表する強打者へ成長した森下と佐藤は、相手バッテリーの警戒が強まったこともあり、四球率が大きく上昇。一方で近本、中野、大山はそろって大幅に低下した。佐藤、森下の増加を差し引いても、虎打線全体ではかつて〝お家芸〟だった「歩く力」が失われつつある。
この日、竜先発のマラーに完封勝利を許した虎打線が奪えた四球は、7回佐藤の第3打席の1つだけ。カウント3ボールまで進められる状況すら少なく、淡泊な早打ちばかりが目立った。
〝去年優勝できたのは、岡田の遺産のおかげ〟という手厳しい声を封じるためにも、藤川監督は球団史上初となる連覇を必ず成し遂げなければならない立場。23年の猛虎が身につけていた「打たずして塁を奪う」しぶとさを取り戻せるか。修羅の道はまだまだ続く――。












