虎の尻尾はつかめそうで、つかめない。巨人は14日の3位・DeNA戦(横浜)に延長12回の末、3―4でサヨナラ負け。同日に首位・阪神も敗れたため0・5ゲーム差は変わらなかったが、最終盤で首位奪取の絶好機を逃した。

 打線は2点を追う5回に大城が10号2ラン、6回には増田が勝ち越しの5号ソロ。それでも5番手・森田が7回に追いつかれた。延長12回にはマルティネスが犠打処理で一塁へ悪送球し、決勝点を献上。橋上監督代行は「選手は目いっぱいやってくれましたので。勝負事なので仕方ないかなという部分はあります」と悔しさをのみ込んだ。

延長11回の6打席目に中前打を放った浦田俊輔
延長11回の6打席目に中前打を放った浦田俊輔

 死闘の中に光はあった。「1番・二塁」で先発出場した浦田俊輔内野手(24)は5時間に迫る長丁場でも集中力を切らさず、際どい二直を度々処理。無安打のまま迎えた6打席目に中前打を放ち、今季36個目の盗塁を決めて気迫と意地を見せた。

 一方で9月の月間打率は同日終了時点で11試合、41打数7安打の1割7分1厘。プロ2年目で初めてシーズンを完走しようとする中、疲労の色は隠せない。

 ミート力と脚力を武器にリードオフマンとして得点力を支える欠かせないピースだ。優勝、ポストシーズンを見据えれば一度リセット休養を挟むのも選択肢になり得る。それでも川相昌弘ディフェンスチーフコーチ(61)は「温存はしなくてもいい」と〝ノンストップ指令〟を出した。

 根拠は明快だ。「一軍の試合のしんどさも、乗り越え方も一軍の試合に出た人しか分からないですから、今はがむしゃらにやるしかないんです」。この苦しい谷間こそ、浦田がはい上がるべき試練だ。

「自分で勝敗をコントロールするとか、周りとのバランスとかは考えなくていい。毎日試合に出て、食べて、寝る。毎日一生懸命、この繰り返しでいい」。虎を0・5差で追う正念場だからこそ、若武者には目の前の一日をやり切ることを求めた。

 今じゃなければいつ踏ん張るか。高い壁を乗り越えた先の景色を背番号32は見なければならない。