〝鷹色〟に溶け込んだ。福岡移転後初となるリーグ3連覇を達成したソフトバンク。そのシーズンを語る上で欠かせないのが、5月12日にDeNAからトレードで加入した山本祐大捕手(28)の存在だ。移籍後は48試合で打率2割6分4厘、2本塁打、28打点。特に5月は月間打率3割5分をマークし、チーム浮上の一因となった。
一方、夏場には戦線離脱も経験した。6月上旬に左手の有鈎骨を骨折し、同12日に手術を受けてリハビリ組へ。それでも驚異的な回復力を見せ、7月22日に一軍復帰。当初、球団が発表した「競技復帰まで2~3か月」の見通しを大幅に覆した。
リハビリ組に合流した際、山本祐がチームスタッフに伝えたのが「最短の最短で復帰したい」という言葉だった。「休んでいても試合は続いていく。嫌じゃないですか、普通に」。さらに知っておきたい〝空気〟があった。
「ベイスターズならある程度『こういうことが起きたら、こういうチーム状況になる』と理解できた。ただ、ホークスでは『チームがどういう状況で、どういう攻め方をするのか』の空気感は現場にいないとわからないので。早くそこの空気感に慣れたかった」
勢いに乗る時、苦境に立たされた時――。ベンチの雰囲気や動き方に、そのチームの色は表れる。
手術から実戦復帰までは約1か月。「今の野球選手にはなかなかいない」「その早さはすごい」と、首脳陣や選手から驚きの声も上がった。本人の強い意思に、プレーの動きや数値という客観的な裏付けも加わった。その根性には、王イズムを根底とするホークスのナインも目を見張った。
術式の選択も早期復帰につながった。手術では医師から最初に提案されたものとは異なる術式を選択。DeNA時代に右手の同様の箇所を切開し、感覚のズレに苦しんだ経験があったためだ。比較的握力が戻りやすく、早い段階でスイングを再開できた。
リーグ制覇後には「シーズン始まる頃には、まさか違うユニホームで優勝するなんて考えてもみなかった」と語った山本祐。歓喜の輪に加わる姿は、常勝軍団の空気感にすっかりなじんでいた。













