ソフトバンクが悲願のリーグ3連覇を圧倒的強さで飾った。優勝の立役者は、2023年ドラフト1位入団の前田悠伍投手(21)だ。ここまで開幕から無傷の12連勝。昨秋に左ヒジを手術し、登板間隔を空けながらのシーズンのため規定投球回到達は難しいが、最多勝と最高勝率のタイトル獲得を射程圏に捉えている。今季17試合に先発して12勝0敗、防御率1・90。次世代のエース候補が絶対戦力に加わるシーズンとなった。
高卒3年目でMVP級の活躍は称賛に値する。だが、向上心の塊のような21歳に特別な受け止めはないはずだ。ちょうど3年前の9月。前田悠はU18W杯で日本を史上初の世界一に導いた。名門・大阪桐蔭の主将にしてエースだった左腕は最後の夏、甲子園出場が叶わなかった。「大阪大会で負けて糸が切れることはなかったです。燃えてましたね。目標をチームから個人に切り替えて、ドラフトで複数球団から1位指名されることを目標にしていました。夏までにアピールしきれなかったので、もう代表戦しかなかった。そこに焦点を合わせて『絶対にいい投球をするんだ』と切り替えてやっていました」
複数球団から1位指名――。自らに高いハードルを課したのは「それくらいの評価でプロに入らなければ野球人生は明るくない」という考えからだった。国際大会で快投を連発し、鷹の栄えあるドラ1としてプロ人生をスタート。他者とは一線を画す向上心で高卒3年目で〝勝てる投手〟へと駆け上がった。
「高卒即戦力」を志してきたからこそ、注目の議論に対しても明確な意見がある。酷暑対策を踏まえ、高校野球で検討が進む「7イニング制」。前田悠は「プロや社会人、大学野球は9回ですよね。7回から9回にいきなりは…。だから僕は変えない方がいい」と7回制の導入に反対の立場だ。7回制と9回制では全くの別物。最上位のカテゴリーが9イニング制である以上、そこを動かすことに違和感がある。突き抜ける才能に蓋をしかねないという危機感だ。「9イニングできないではなく、9イニングやるために(分散開催、日程見直しなど代替案を含め)どうするかを考えるべき」。若くして頭角を現すことで、選手の可能性や未来の選択肢は大きく広がる。最高峰への憧れがあるから、選手の向上心が高まり、競技が発展する。選手ファーストの変革を望むのは、常に最高峰から逆算して進むべき道を選択してきたからこそだ。
今季の活躍は、あくまで序章にすぎない。おごることなく高みを目指す21歳。「僕はまだ(NPBで)一番になれていない」。これからも野心を持って球界のトップを目指す。












