遅咲き左腕は、もう〝伏兵〟ではない。ヤクルト・山野太一投手(27)が18日のDeNA戦(横浜)に先発し、8回途中4安打1失点の快投で11勝目を挙げた。プロ6年目で初の規定投球回にも到達し、チームは破竹の8連勝中だった相手を3―1で下した。

 山野は3回まで一人の走者も許さない圧巻の立ち上がり。4回は先頭の度会に二塁打を許したものの後続3人を打ち取り、5、6回も三者凡退。3点の援護をもらった直後の8回、一死二塁で代打・エンカーナシオンに対し2度の暴投で1点を失ったが、最少失点で試合をつくった。初の規定投球回到達に「うれしい」と笑顔。それでも「本当に周りの方々の支えのおかげ。調子に乗らず、謙虚に、感謝の気持ちを持って過ごしたい」と慢心はなかった。

 プロ1年目からコンディション不良に苦しみ、育成契約も経験した遅咲きの左腕。今季は登板数でキャリアハイを更新し、勝利数も昨季の自己最多5勝を大きく上回る11勝まで伸ばした。今や〝燕のエース〟に成長を遂げている。

 今季からは走者を背負っても一度スコアボードに目をやり、カウントや次打者を確認して頭と心をリセットするようになった。「前までは打たれると落ち込んで、『やばい』『どうしよう』って感じだった。けど今年はそれがイライラに変わりました」。自らの投球に自信が芽生えたからこその変化だ。

 それでいて、自身の強みを「ポーカーフェースなところかな」と笑みも浮かべつつ分析。マウンド上では感情を出さないことを意識しているという。そのきっかけとなったのが、ベテラン・山田哲人内野手(34)からの一言だった。

「一個言いたいことがあって。(感情を)顔に出し過ぎじゃない? そういうの野手は見てるから、やめた方がいいよ」

 8月22日に一軍に合流した大先輩から、かけられた言葉だ。胸に刻んだ山野は、マウンド上での立ち居振る舞いを見直した。

「マウンドでは常に堂々としていたい」。心技ともにたくましさを増し、ダイヤモンドの中心で威厳を放つ背番号26。その姿には、確かなエースの風格が漂い始めている。