負けられない戦いはペナントレースだけではない――。ヤクルト・奥川恭伸投手(25)が8日のDeNA戦(横浜)に先発し、8回113球を投げて5安打無失点。CS圏内の3位を争う直接対決初戦は延長10回に及ぶ接戦となったが、右腕の好投が3―1の勝利へ導いた。

 奥川は4回に無死満塁のピンチを招いたものの、後続の3人を打ち取って無失点で切り抜けるなど粘投。池山監督も「今日は安心して見ていられた。ストレートもスピード以上にキレを感じた」と太鼓判を押した。

 今季8勝目はお預けとなったが、奥川は「結果的にチームの勝ちにつながってくれたのでうれしい。今までだったらやられていた場面。ああいうピンチをしのげたっていうのは自分を褒めてあげてもいいのかなと」と自らの成長を口にした。

 自身を高める裏には努力だけでなく〝ライバル〟の存在がある。プロ6年目で自身初の2桁勝利となる10勝(3敗)を挙げている山野太一投手(27)だ。ともに好投を続け、チームを支える2人は年齢も近く仲が良いことでも知られるが、お互いに「意識する」と語る間柄。単なる先輩、後輩以上の関係性をにじませている。

 山野は「(奥川は)イニング数のことをめっちゃ言ってくるので、勝利数だけは負けないようにって思ってやっています」と笑う。奥川はこの日が20度目の登板で137回に到達。すでに21登板している山野の135回1/3を上回った。登板数は1試合少ない奥川が投球回では山野を約1イニング上回り、人知れず〝デッドヒート〟を繰り広げている。

 しかし、山野はこうも続ける。「(奥川は)力強いボールで、コントロール良く勝負している。球数少なく長いイニングを投げられるところは、自分も見習わないといけないなと思わされてます」。良きライバルでありながら、お互いの投球から刺激を受け、腕を磨き合っているのだ。

 CS進出をにらむ池山スワローズ。そのマウンドの陰で静かに火花を散らす2人がいる。この切磋琢磨が左右の柱をさらに強くし、チームを押し上げていく。