前を追えば遠のき、後ろを見れば足音が迫る。燕が土俵際に追い込まれた。セ4位・ヤクルトは3日の阪神戦(神宮)に4―7で敗れ、借金は今季ワーストタイの「13」。CS圏内の3位・DeNAとは3ゲーム差に広がり、この日勝った5位・広島には1ゲーム差まで肉薄された。

 先発した増居は3回4失点で今季初黒星。打線は赤羽が3安打3打点と気を吐き、一時は2点差まで迫ったが、最後まで虎をのみ込めなかった。池山監督は「なんとか食らいついていたんですが…やはり強力な打線で結果7点ですので仕方ないですね」。

 CS争いの正念場で、背後からも足音が迫る。そんな土壇場で指揮官が打った一手が、約2か月ぶりに一軍復帰したホセ・オスナ内野手(33)の起用だった。ファームでは打率1割7分と本来の打撃を取り戻せずにいた背番号13。それでも指揮官は「慣れ親しんだ神宮ですし、ファンの方の後押しもある。二軍で成績が出てないからこそ、もう一度という気持ちで頑張ってもらいたい」と〝荒治療〟に踏み切った。

「4番」で先発したオスナは4打数2安打と応え、「感じはよくなっている。チームが勝てるようにベストを尽くすだけ」と復調を口にした。結果が出ない時こそ、一歩を踏み出す。その姿勢はオスナだけに求められているわけではない。残り23試合。首脳陣が若燕に求めるのは、重圧を振り払う〝思い切り〟だ。

二塁に滑り込むオスナ(ロイター)
二塁に滑り込むオスナ(ロイター)

 松元ユウイチヘッドコーチ(45)は「野球人生はプレッシャーの中でやっていかなければいけない。だからこそ残りの試合は今まで以上に思い切ったプレーをしてほしい。いかに積極的にバットを振れるか、積極的にスタートを切れるかが大事。若い選手たちには特に、結果を気にしすぎず、ビビらずやってほしい」と力を込める。

 勝利を求めるほど、失敗への恐怖も膨らむ。だが、その殻を破った先にCSへの道も、来季につながる成長もある。粗削りな若燕たちは残された23試合を「燕心全開」で戦い抜き、窮地を自信に変えられるか。