王者を追うセパ2チームの行方は――。3日のヤクルト戦(神宮)に6―4で勝利したセ首位・阪神と2位・巨人の差は5ゲームに拡大。一方、パでも首位・ソフトバンクと2位・西武が5ゲーム差と、くしくも両リーグが同じ構図となった。首位チームにはともに優勝マジックが点灯する中、逆転リーグ優勝はあるのか。巨人でヘッドコーチ、西武でも2度にわたって監督を務めた本紙専属評論家の伊原春樹氏は2つの古巣にメスを入れ、ライオンズのミラクルVに太鼓判を押した。

【伊原春樹「新鬼の手帳」】3日時点でソフトバンクに5ゲーム差をつけられている西武だが、力負けしている印象は決してない。平良や高橋光成らの先発投手陣だけでなく、救援陣も含めた投手陣全体がソフトバンク以上の実力を持っていると思う。特に平良に関しては、崩れたとしても2失点程度までにまとめる力があるし、平良以外のどの先発も試合を作る力を持っていることは大きい。

 打線のラインアップだけを見ればソフトバンクに見劣りする部分は否定できないが、ここに来て打線もようやく固定できるようになってきた。シーズン中盤は日替わりメンバーでやりくりしてきたが、西口監督が選手個々の調子、相性をうまく見定めてきたからこそ、今につながっているのだろう。

 中でも、ポイントゲッターとしても、チャンスメーカーとしても存在感を放っている滝沢は最重要人物になると思う。いかに彼に打席を回せるかがチーム浮上のカギとなるだろう。4日からはソフトバンクとの直接対決が待っている。投手陣は僅差の試合展開に持ち込めるだろうから、あとは滝沢を中心とした打線が複数得点できれば、3連勝しても驚きはない。首位奪取、さらには逆転優勝への道筋も見えてくるはずだ。

 対する巨人は、3日に阪神がヤクルトに勝ったことで同日時点で首位とのゲーム差が5に広がった。甲子園での直接対決に3連敗。ここで1勝でもできていれば、優勝の行方はシーズン最終盤まで分からなくなっていたと思うが、現状は厳しい。巨人打線は阪神の先発陣を最後まで打ち崩せなかったし、投手陣が奮起して何とか接戦に持ち込んでも、森下、佐藤、大山のいずれかから一発が飛び出して競り負けてしまった。完全に力負けの内容だった。

 開幕から奮闘している浦田の成長や、底を脱したと見える泉口の復調気配は好材料だが、やはり一番大事なのはポイントゲッターであるダルベックの存在。橋上監督代行は2日のDeNA戦(京セラ)では、不振が続く助っ人大砲をリフレッシュのためにベンチ外にしていたが、手を尽くして彼の調子を戻さないことには打線の活性化はない。阪神には大型野手が3人もそろっている以上、巨人としてはチーム唯一とも言える大砲のダルベックを復調させられるかが最大のカギを握るはずだ。

 西武、巨人は3日の全試合終了時点でともに首位と5ゲーム差。同じような状況下にいるように見えるが、やや明暗が分かれた格好だ。天王山とも言える首位攻防戦が週末に残されている西武が、そこでどこまで食らいつけるか。ここでパ・リーグの優勝チームが決まると言っても過言ではないだろう。

(本紙専属評論家)