次に大きく跳ね上がるのは、本塁打数ではなく契約額か。ホワイトソックスが村上宗隆内野手(26)との長期延長交渉に着手。一部の米主要メディアは球団史上初の1億ドル(約160億円)超が必要になる可能性が高いと分析しており、イチロー氏(52=マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)が現役時代にマリナーズと結んだ5年9000万ドル(約144億円)を上回る「日本人野手最高額」の更新もほぼ確実な情勢だ。

 いよいよ村上の評価は、スコアボードだけでは測れない段階に入った。ホワイトソックスのクリス・ゲッツGMは米紙「ニューヨーク・ポスト」が配信するMLB専門ポッドキャスト番組「The Show」に出演し、村上との延長交渉について「長期的にここにいてくれたら最高だ。彼も興味を持っているようだし、私たちもそうだ」と明かした。

 この詳細を27日(日本時間28日)に報じた米主要メディアの移籍専門サイト「MLBトレードルーマーズ」によれば、現行契約は来季までの2年総額3400万ドル(約54億円)。現行の労使協定が12月1日(同2日)に失効し、ロックアウトの可能性もあるため球団側には早めに話をまとめたい事情がある。

 同サイトが契約規模の物差しとして挙げたのが、32歳内野手のマット・オルソンがブレーブスと結んだ8年総額1億6800万ドル(約268億円)だ。村上はメジャー経験の短さや33%を超える三振率という不確定要素を抱える一方、ハムストリングを痛めて1か月以上離脱しながら27日(同28日)時点で98試合、429打席で29本塁打。打率2割1分9厘、出塁率3割5分7厘、OPS0・859を残している。

 8月の村上は同日時点で打率1割4分4厘とやや停滞していたが、18日(同19日)には29号をマーク。長期離脱を挟みながら、積み上げてきた長打力への評価が揺らぐ材料にはなっていない。

 しかもホワイトソックスは同日時点で70勝63敗、ガーディアンズに2・5ゲーム差をつけてア・リーグ中地区首位。歴史的低迷から地区優勝、ポストシーズン進出を争うまでに押し上げた打線の中核として、村上の「費用対効果」は十分すぎるほど示されている。新人王争いでも有力候補の一角だ。

 焦点は、その値札がどこまで上がるか。日本人野手の契約総額では、イチロー氏がマリナーズと結んだ5年9000万ドルと、吉田正尚外野手(33)のレッドソックスとの5年9000万ドルが最高水準。1億ドルを超えれば両者を抜く。日本人全体ではそれぞれドジャースに所属する大谷翔平投手(32)の10年7億ドル(約1120億円)、山本由伸投手(28)の12年3億2500万ドル(約520億円)があるため、あくまで「野手」の記録だ。

 しかも村上の所属事務所「エクセル・スポーツ・マネジメント」は過去を振り返れば、有力選手をFA市場まで進ませる傾向が強い。実際に昨オフも前所属球団のヤクルトが村上のポスティング申請を行った際にはヤンキース、メッツ、マリナーズ、ジャイアンツなどが獲得候補に挙がり、ドジャースも移籍先予想で有力視された。

 契約期間中にホワイトソックスが囲い込めなければ、2027年終了後に再び「村上争奪戦」となる可能性は十分。その時は1億6800万ドルさえ、通過点になり得る。次に村上が球界を驚かせるのは一発のみならず、契約書に並ぶ桁外れの数字かもしれない。