〝令和の怪物〟まで青く染めるのか…。ドジャースが今夏の甲子園を沸かせた日米最注目株、横浜・織田翔希投手(18)の〝強奪〟をもくろみ、獲得レースで大きくリードしているという。対抗馬はヤンキース。NPBドラフト1位級の剛腕をめぐり、海の向こうで早くも争奪戦が熱を帯びている。その背景とは――。
聖地での戦いは終わっても、この剛腕をめぐる〝延長戦〟はまだ始まったばかりだ。横浜は20日の全国高校野球選手権準決勝(甲子園)で智弁和歌山に1―7で敗戦。先発マウンドに立ったエースの織田は2回1/3を8安打4失点と崩れ、高校最後の夏を終えた。それでも、自己最速157キロ、甲子園では大会最速156キロを叩き出した右腕への評価はみじんも揺らいでいない。
むしろ熱を帯びているのが卒業後の進路だ。試合後、横浜の村田監督は「日本も(メジャーも)どちらも視野に入れながら、これから話したい」と明言。本人は進路について具体的な考えを示していないが、NPBだけでなくMLB球団と直接契約する選択肢が現実味を帯びている。
織田には春からドジャース、ヤンキース、パドレスなど複数のMLB球団が密着。4月の高校日本代表候補合宿にはメジャー7球団9人のスカウトが集結し、夏の甲子園でもドジャース、ヤンキース、メッツ、レンジャーズなどが視察した。米ヤンキース系メディア「ヤンクス・ゴー・ヤード」も獲得を強く推すなど、海の向こうでも注目度は急上昇している。
その争奪戦で「先頭」を走っているとみられるのがドジャースだ。複数のMLB極東スカウトや日本のアマチュア関係者の話を総合すると、早い段階から継続的に織田をチェックし、他球団より一歩も二歩も先んじているとの見方が強い。一方、対抗馬として名前が挙がるのがヤンキース。MLBの超名門による綱引きに発展する可能性もある。
実際、その織田獲得を巡るMLB側の〝狂騒曲ぶり〟を米スポーツ専門局「ESPN」も番組「Sports Center」の中でホットトピックスとしてクローズアップ。「日本の高校生有望株がMLBから注目される本格的な時代に入った。横浜高校の織田は近年まれにみる逸材としてドジャース、さらにはヤンキースからも注目を浴びているとの情報も飛び交っている。織田は今秋のNPBドラフトの1位指名候補だが、MLB側の方が優位な立場にいる模様だ」とリポートされている。
MLB側が強気になれる材料もある。2025年1月には桐朋高の森井翔太郎内野手(19)がNPBを経ず、アスレチックスと契約金151万500ドル(約2億4000万円)でマイナー契約。学業補助金25万ドル(約4000万円)も付いた。契約金だけでNPBのドラフト1位級の条件をはるかに上回る資金力を示した格好だ。
しかも今夏には、スタンフォード大の佐々木麟太郎内野手(21)が昨秋のNPBドラフトでソフトバンクから1位指名を受けながら、MLBドラフト8巡目で指名されたマーリンズ入りを選択。契約金は21万200ドル(約3340万円)と、NPBのドラフト1位級に見込まれる条件を大きく下回った。それでも佐々木が「夢の舞台」を優先したことで、MLB関係者の多くは「日本のトップアマには〝たとえ契約金が安価でも夢を追う〟層がいる」との認識が強まり、ほくそ笑んでいるという。
織田が今秋のプロ志望届を提出するのか、それともNPBドラフトを飛び越えて海を渡るのか。ドジャースがこのまま〝最速右腕〟まで手中に収めれば、日本球界にとっては単なる逸材流出では済まない。次代のスターを入り口でさらわれる――。そんなシナリオが、現実になる可能性が高まりつつある。












