最後にモノを言うのは、修羅場を知る者の背中か。ヤクルトは25日の巨人戦(神宮)に6―8で惜敗し、4連敗。借金は今季最多の11に膨らんだ。先発の吉村は初回無死二、三塁からダルベックに先制3ランを浴びるなど、121球を費やして5回8安打7失点でKO。打線は16安打を放ち、5回までに6点を奪ったが、あと一歩追いつけなかった。池山監督は「バントや犠飛、1点の取り方っていうところはずっと考えながらやっているが、うまく結果につながっていない。なかなか追いつけなかった」と悔やんだ。

 4位のチームは3位・DeNAと0・5ゲーム差。一方で5位・中日、6位・広島にも2ゲーム差まで迫られた。優勝戦線からは大きく後退したとはいえ、クライマックスシリーズ(CS)進出をかけた生存競争はここからが正念場。そこで浮上の〝呼び水〟として期待されるのが、百戦錬磨のベテラン勢だ。

「流れが悪かったので」(池山監督)と22日の中日戦(バンテリン)から今季初めて一軍に合流した山田哲人内野手(34)は、この日4番で先発し4打数3安打。万全とは言いがたい状態でも、その存在感で打線を活気付けた。

 25日には石川雅規投手(46)、小川泰弘投手(36)も一軍に合流。指揮官は「経験値はまだまだ低い。これから覚えていくさまざまなことを、ベテラン選手から教わったり、感じ取ったり。先輩の助言は力強い。そういうところでベテランの力が必要」と力を込めた。

 今季は若手を積極起用し、前半戦に快進撃を演じた。だが後半戦は急失速。勝負どころでの1点の奪い方、苦境での立ち振る舞い、長いシーズンを乗り切るための心身の整え方――。発展途上の若燕にとって、今こそベテランの背中が〝生きた教科書〟となる。

 山田、石川、小川は2015年、21年のリーグ優勝を知り、21年には日本一も経験した。優勝争いも、シーズン終盤のデッドヒートもくぐり抜けてきた3人の経験値は、数字だけでは測れない。修羅場を知るからこそ宿る神通力と影響力。それらが若燕に乗り移れば、停滞する空気を一変させる力にもなる。そんな〝化学変化〟が、苦境にあえぐチームの流れを変えるきっかけとなるか。