「PCA優位」で固まりかけた空気に、ユニコーンがもう一度風穴を開けるのか。ナ・リーグMVP争いが最終盤へ向かう中、米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」傘下のスポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」は27日(日本時間同日)、レッズとナショナルズのGMを歴任したジム・ボウデン氏による今季MLB主要賞の予想を掲載。カブスのピート・クロウ=アームストロング外野手(24)を同MVPの本命、ドジャースの大谷翔平投手(32)を次点に挙げた。

 大谷とPCAの一騎打ちは、もはや目新しい構図ではない。攻守走で価値を積み上げるPCAが優勢との見方が米メディアで広がる一方、大谷は左ヒザの痛みで7月3日(同4日)を最後に登板から遠ざかっていた。ただ、その大谷には9月上旬のマウンド復帰への道筋が見え始めている。焦点は「どちらが上か」から「二刀流再開で情勢がひっくり返るか」へ移りつつある。

 そのタイミングで示されたボウデン氏の見立てが興味深い。同氏は両者の打撃成績は似ているとしつつ、PCAがすでに30本塁打&30盗塁を達成し、40本塁打&40盗塁も射程圏に入れた上、広い守備範囲、強肩、走塁まで備える点を評価。「おそらく最も接戦となる」としながらも、現時点ではPCAに軍配を上げた。

 だが、裏を返せば大谷の〝逆転条件〟も明確だ。ボウデン氏は、大谷が左ヒザを痛めず以前のように投げ続けていればPCAを「僅差で上回っていただろう」と指摘。マウンド復帰が近づいていることにも触れ、シーズン終了まで激戦が続くと予測した。PCAの優位を認める元GMでさえ、大谷の投手としての上積みを「勝負を動かす最大の変数」と見ているわけだ。投票の風向きが再び変わる余地は、まだ十分に残されている。

 他の主要賞では、ア・リーグMVPにアストロズのヨルダン・アルバレス外野手(29)、ナ・リーグのサイ・ヤング賞にブルワーズのジェーコブ・ミジオロウスキー投手(24)、ア・リーグはヤンキースのキャメロン・シュリトラー投手(25)を予想。ア・リーグ新人野手ではタイガースのケビン・マクゴニグル内野手(22)をトップとし、ホワイトソックスの村上宗隆内野手(26)を次点に置いた。

 PCAが逃げ切るのか、ユニコーンが二刀流で差し切るのか。残り約5週間、MVP争いの最後の振り子を動かすのは大谷のバットだけではなく再び握るボールになりそうだ。