ドジャースを3年連続のワールドシリーズ優勝へけん引するデーブ・ロバーツ監督(54)の采配を巡り、よからぬ疑念が向けられている。トレード期限前に電撃獲得したタリク・スクバル投手(29)の球数が移籍後から急増。今オフにFAとなる最強左腕は空前の大争奪戦が予想されており、今のうちに最大限の恩恵にあずかり〝使い捨て〟にする魂胆だというのだが――。
タイガース一筋でプレーしてきたスクバルは、今月4日(同5日)のカブス戦でドジャースの一員として初登板した。その後、中5日のペースでマウンドに上がり、4戦目となった22日(同23日)のパイレーツ戦で待望の移籍後初勝利。先発陣にさらに厚みを持たせる補強となったが、米老舗誌「スポーツ・イラストレイテッド」の電子版「ON SI」が警鐘を鳴らしていたのは球数についてだった。
4戦目は106球で、3戦目(16日=同17日、ブルワーズ戦)は降板する6回までに自己最多の109球を要した。当時、スクバルは5回を投げ終えた時点で95球となり、6回も続投する前にロバーツ監督から意思を確認され「問題ない」と答えて3者連続三振に抑えていた。
ただ、109球はキャリア最多で106球も4番目に多い球数。移籍からわずか4登板で立て続けに2度も野球人生で指折りのフル回転をしたと受け取れなくもない。
そのため、同誌は「ドジャースがトレード期限前にタイガースからスクバルを獲得した際、両球団はこの関係が2か月間しか続かないことが確実であることを承知していた。ドジャースが10月後半まで勝ち進めば3か月に及ぶだろうが、スクバルはその後にFAとなる。そこでは激しい争奪戦が予想され、MLB史上最高年俸の投手となる可能性もある。しかし、ドジャースはそこまで先のことは考えず、スクバルが在籍する2~3か月間だけに集中している」と指摘した。
屈指の資金力を誇るドジャースにとって争奪戦は得意中の得意。ただし、MLBでは現在の労使協定が12月1日(同2日)に失効し、新協定は総年俸に制限をかけるサラリーキャップ制度の導入可否を巡って先を見通しづらい状況にある。導入したい機構側と反対する選手会側の隔たりは大きく、溝を埋められなければロックアウトに突入して移籍市場が凍結する可能性もある。
つまりは不確かな将来のことはさて置き、スクバルが確実に在籍している今のうちに使えるだけ使ってしまおうという見立てだが…。同誌は「これまでの起用法を見る限り、ドジャースは限られた時間の中で彼からすべてを搾り取ろうと本気で取り組んでいるようだ」「タイガース在籍時、今季96球以上投げたことがなかったスクバルから最大限の見返りを得ようとしていることは明らかだ」と疑念を深めている。
全30球団の中でもドジャースの人気は屈指。抜群の注目度を誇る半面、スター選手ぞろいのチームを束ねるロバーツ監督も大変だ。
☆名将が向き合う「バッシング」と「重責」
ロバーツ監督は気さくな人柄で選手とのコミュニケーションを密に図ることで知られ、ナインからは親しみも込めて「ドック」の愛称で呼ばれている。2016年に指揮官に就任して今季で11年目。3度のワールドシリーズ優勝(20、24、25年)を誇り、昨年3月には29年シーズンまで4年3240万ドル(約51億8000万円)で契約を延長した。今年7月には監督通算1000勝を史上最速で達成している。
一方、熱狂的なファンは日々の勝敗にもシビアで継投が裏目に出たり、不振の選手を我慢して起用して敗れようものなら猛バッシングにさらされ、連敗が続けば米メディアから「解任」や「解雇」といった過激な文言も並べられる。しかし、ロバーツ監督は選ばれた人間だけしかなれない「ドジャース監督」の立場を意気に感じており「(ワールドシリーズに)優勝できなければ失敗」と自らに言い聞かせながら重責と向き合っている。












