ソフトバンクのリバン・モイネロ投手(30)が14日、再来日後初となる実戦登板に臨んだ。四国アイランドリーグplus・愛媛との三軍戦(タマスタ筑後)に先発。5回60球を投げ、1安打1失点。最速は146キロだった。

 珍しく4つの死球を与えた左腕は「左打者のインコースに投げたい変化球(カットボール)があった」と意図を明かした上で「高く腕が上がっていない。実際に体から離れているという状況だと思う。その影響で変化球が外に抜けて当たってしまった」と冷静に分析。調整段階で得られた明確な課題にも想定内といった様子で「ボールがゾーンに行けば、いける」と前を向いた。

 昨季のMVP左腕は今春開催されたWBCにキューバ代表として出場し、開幕直前の3月25日に来日。愛国心の強い男が母国のために心血を注いだことは想像に難くない。ただ、WBC出場による〝代償〟だけで長く戦列を離れているわけではない。

 ちまたではキューバの情勢不安の影響で来日が遅れたという見方もあるようだが、実際は昨秋離日前にチームに伝えていた再来日時期とほぼ同じ日程で来日。用意周到に事前申請していた理由は、中継ぎから先発に転向した2024年からの勤続疲労を考慮してのことだった。一昨年が163イニング、昨年が167イニング。そこにWBCを挟むことで十分な休息が取れず、まとまった調整期間も確保できない。冷静に自分の限界点を把握しているからこその判断だった。

 事実、キューバ帰国後もこれまでの野球人生で感じたことのない疲労感に襲われていたようだ。1月の代表事前合宿では慎重に調整を続け、2月に行われたWBC直前の強化試合への遠征参加を見送っていた。直近2シーズンの勤続疲労を考慮せず無理をすれば、取り返しのつかない事態を招く可能性がある。それを察したからこそ、再来日後の「長期調整」期間の確保を小久保監督ら現場首脳陣に要請して承諾を得ていた。

 とりわけ勤勉で、どんな環境にも適応する男。キューバ国内の調整について母国の情勢不安を言いわけにするようなことはない。「疲れない人なんていないよ」。そう笑いつつ、万全の調整を託されたからこそ一軍帰還後に求められる自身の使命を心得ている。ここまでは、昨秋策定したロードマップ通り。「負けないエース」として戻る日は、そう遠くない。