投げれば支配者、打てばまだ迷いの中――。そんな二刀流スターを、救援一筋の剛腕がランキング上で追い抜いた。ドジャース・大谷翔平投手(31)を上回る衝撃を同地区の宿敵が放っている。米メディア「ファンサイデッド」は12日(日本時間13日)、今季ここまでメジャーで最もインパクトを与えている投手10人を選出。大谷を10位に置いた一方、トップにパドレスのメイソン・ミラー投手(27)を据えた。

 大谷は同日のジャイアンツ戦(ドジャースタジアム)で、3回に12試合ぶりの7号ソロ。単打と四球も記録したが、チームは2―6で敗れ、4連敗となった。打撃成績は39試合で打率2割4分、7本塁打、17打点、OPS・796。長い沈黙を破っても、まだまだ完全復調とまでは言い切れない。

 それでも投手・大谷は別物だ。13日(同14日)の同カードでは先発予定で、今季は6試合で2勝2敗、防御率0・97、37回で42奪三振、WHIP0・81。打撃不振を補って余りある支配力を見せており、同メディアも「野球界最高の選手」と評した。

 ランキングには9位クリス・セール投手(37=ブレーブス)、8位ポール・スキーンズ投手(23=パイレーツ)、7位ディラン・シーズ投手(30=ブルージェイズ)、6位ジェイコブ・ミシオロウスキー投手(24=ブルワーズ)、5位マックス・フリード投手(32=ヤンキース)らが並ぶ。さらに4位ノーラン・マクリーン投手(24=メッツ)、3位クリストファー・サンチェス投手(29=フィリーズ)、2位カム・シュリットラー投手(25=ヤンキース)と、若い剛腕の台頭も目立つ。

 その頂点に立ったのが、サンディエゴの守護神ミラーだ。昨年7月に有望株レオ・デフリース内野手(19)らを交換要員としてアスレチックスから移籍し、現在はナ・リーグ西地区首位を争うパドレスの最終回を預かる。今季は18試合で1勝0敗、メジャートップの12セーブ、防御率0・96。18回2/3で38三振を奪い、WHIPは驚異の0・64。奪三振率55・9%、空振り率58・1%という数字は、短いイニングの救援投手という枠を超えている。

 100マイル超、つまり160キロ台前半の速球の速球と鋭いスライダーを軸に、チェンジアップまで隠し持つ。2003年のエリック・ガニエ(ドジャース)以来、救援投手のサイ・ヤング賞は長く途絶えているが、ミラーはその常識を揺さぶる存在だ。同メディアも「今季のミラーがクローザーがサイ・ヤング賞から遠ざかっているという呪縛を打ち破り、歴史に名を刻むかもしれない」と論じている。

 打者として苦しみながらも投手として君臨する大谷。その大谷さえ、ランキング上では下に置かれる。ドジャースにとって同地区に現れた最終回の怪物は、順位表以上に不気味な圧力となっている。