沈む老舗球団の金庫には、まだ大物が眠っている。だが、その扉は簡単には開きそうにない。米老舗誌「スポーツ・イラストレイテッド」の電子版「ON SI」は13日(日本時間14日)までに、8月3日(同4日)のMLBトレード期限を前に、各球団GMが獲得可能な3人のスター選手としてジャイアンツのラファエル・デバース内野手(29)、マット・チャップマン内野手(33)、ウィリー・アダメス内野手(30)に注目した。

 ジャイアンツは13日(同14日)のドジャース戦(ドジャースタジアム)に0―4で敗れ、18勝25敗。ナ・リーグ西地区の下位に沈み、すでにパトリック・ベイリー捕手(26)をガーディアンズへ放出したことで、市場では「次は主力級の整理か」との見方が一気に広がっている。実際、米全国紙「USA TODAY」のボブ・ナイチンゲール記者は、ジャイアンツがデバース、チャップマン、アダメスの大型契約を動かしたがっていると伝えている。

 だが、ここで浮かび上がるのは単純な売り手転落の物語ではない。ON SIが引用した米メディア「ファンサイデッド」のロバート・マレー記者による記事によれば、球団内部では3人のトレードについて「一切話し合いは行われていない」という。低迷するチームにとってベテランの高額契約は処分対象と見られがちだが、ジャイアンツ側はむしろ彼らの反転を信じている。

 その根拠もある。デバースは5月に入り、打率3割5分1厘、3本塁打、7打点と復調気配を示し、直近13試合でも打率3割6分4厘、3本塁打、8打点。アダメスも苦しいシーズンの中で直近12試合は打率2割8分6厘、5打点と底を抜けつつある。チャップマンは打撃面の爆発こそ限られるが、球界屈指の守備力でチームを支え続けている。

 3人はいずれも今夏限りのレンタル要員ではなく、巨額契約を抱える中核戦力だ。獲得できれば買い手のGMにとっては一気に打線と守備を変える大補強になる一方、ジャイアンツにとっても簡単に手放せば再建の旗印を失う。ベイリー放出は解体の号砲なのか、それとも攻撃力再編の一手にすぎないのか。少なくとも今のサンフランシスコはむざむざと白旗を掲げるよりも、スター3人を抱え直してシーズンを立て直す道を選んでいるように見える。