取られる側だった再建球団が、今度は簡単には手放せない側になりつつある。中心にいるのは、今季からホワイトソックスに加わった村上宗隆内野手(26)だ。

 米老舗野球専門誌「ベースボールアメリカ」は7月末のトレード期限を前に、ア・リーグの優勝候補が補強のために放出する可能性のある有望株を特集した。そこでホワイトソックスの項目にコルソン・モンゴメリー内野手(24)、カイル・ティール捕手(24)、ノア・シュルツ投手(22)らとともに村上の名前が挙がった。長期的な中核が整い始めたという文脈ではあるが、トレード市場の話題において米球界では信頼度の高い同誌上で「ムネタカ・ムラカミ」の名前が出ること自体、他球団が水面下で熱い視線を向け始めている証しでもある。

 村上の価値は成績が雄弁に物語る。13日(日本時間14日)時点で42試合に出場し、打率2割2分8厘、15本塁打、29打点、OPS・900。本塁打はメジャー3位タイ、ア・リーグ2位タイ。打点はメジャー11位タイ、ア・リーグ3位タイに位置する。三振は多いが、5月に入ってからも13号、14号、15号と本塁打を積み上げ、相手バッテリーに一球の失投も許されない圧をかけている。獲得を狙う側からすれば、今夏の市場で最も分かりやすい即効性を持つ長距離砲に映るのは当然だろう。

 もっとも、ホワイトソックスが簡単に手放せる状況ではなくなっている。チームは13日(同14日)、本拠地レート・フィールドでロイヤルズに6―5で競り勝ち、4連勝で21勝21敗の勝率5割に復帰。ア・リーグ中地区2位を守り、首位ガーディアンズを1・5ゲーム差で追う。昨季まで低迷を続けたチームがV争いに浮上している以上、村上は「売り物」ではなく「勝負の核」として残すべき存在に変わりつつある。

 同誌は左腕ハーゲン・スミス投手(22)やブレーデン・モンゴメリー外野手(23)を魅力的なトレードカードとして挙げた。他球団ではアスレチックスのレオ・デフリース内野手(19)、ヤンキースのエルマー・ロドリゲス投手(22)も注目株だ。だが最も刺さる名前は、やはり全米でルーキーイヤーから豪打を爆発させ続けている村上だろう。再建の象徴か、優勝を買うための超大型カードか。シカゴの上昇気流が強まるほど、今夏の村上をめぐる攻防は複雑さを増していく。