長い暗闇を抜け出す号砲は、日本から来た大砲のバットが鳴らしている。米老舗誌「スポーツ・イラストレイテッド」の電子版「ON SI」は、ホワイトソックスの変貌ぶりに注目した。

 チームは13日(日本時間14日)、本拠地レート・フィールドでロイヤルズに6―5で競り勝ち、4連勝。今季通算を21勝21敗として勝率5割に戻し、ア・リーグ中地区2位を維持した。首位ガーディアンズとは1・5ゲーム差。球団がシーズン40試合以降に勝率5割へ到達したのは2022年以来で、昨季まで低迷が続いた名門にとっては単なる1勝以上の意味を持つ。混戦の中地区で敗戦処理のように消化する5月ではなく、上位をにらむ5月を迎えているからだ。

 転機の象徴が、今季から加入した村上宗隆内野手(26)だ。13日時点で42試合に出場し、打率2割2分8厘、15本塁打、29打点、OPS・900。ア・リーグの本塁打部門では2位、打点は3位、OPSは7位、長打率・537は6位につける。直近30試合では11本塁打、22打点を積み上げ、シーズン序盤から長打を量産。三振もリーグ最多の63と粗さは残るが、それを補って余りある一発の破壊力が、打線全体の空気を変えている。低打率に目を奪われれば危ういが、試合を一振りで動かす打者がいる意味は大きい。

 この日の村上は4打数1安打1四球で、本塁打こそ出なかった。それでもチームはコルソン・モンゴメリー内野手(24)の11号ソロ、ジャレッド・ケレニック外野手(26)の2安打2打点などで逃げ切った。村上だけに依存するのではなく、相手投手に長打への警戒を強い、その周辺の打者にも勝負球を呼び込む。NPB3冠王の加入効果は数字以上に打線の厚みに表れている。

 ホワイトソックスは23年に101敗、24年に121敗、25年にも102敗を喫した。屈辱の時間は長かった。それでもウィル・ベナブル監督(43)の下、開幕6勝13敗から15勝8敗と巻き返し、ついに勝率5割まで戻した。ON SIが指摘するように、勝率5割そのものは本来、大ニュースではない。ただ、この球団に限れば意味が違う。村上という新たな軸を得たシカゴ南部の古豪は、敗者の空気を少しずつ脱ぎ捨て始めている。