名門の快走に、エース左腕の肘痛という不穏な警報が鳴った。米メディア「スポーティングニュース」は14日(日本時間15日)、ヤンキースにジャイアンツのタイラー・マーレ投手(31)のトレード獲得案が急浮上していると報じた。背景にあるのは、マックス・フリード投手(32)の緊急降板だ。

 フリードは13日(同14日)のオリオールズ戦(カムデンヤーズ)に先発したが、左肘後部の痛みを訴えて3回61球で降板。チームは0―7で零敗し、同投手はニューヨークで画像検査を受けることになった。本人は長期離脱を深刻視していないものの、ヤンキースにとっては看過できない異変である。

 それでもチームは同日終了時点で27勝17敗、ア・リーグ東地区2位。首位レイズとは2ゲーム差で、得失点差はプラス69と地力はリーグ屈指だ。好位置につけているからこそ、先発ローテーションのほころびは小さな傷で済ませなければならない。ゲリット・コール投手(35)やカルロス・ロドン投手(33)を含め、豪華な顔ぶれはそろう一方で、故障歴と稼働面の不安はつきまとう。

 そこで浮上したのが、マーレだ。同メディアは、米サイト「ファンサイデッド」のクリス・ランダース記者による球界内情報として、ヤンキースが若手のジェイス・アビナ外野手(22)を差し出し、ジャイアンツから右腕を迎える構想が水面下でかねて模索されていると紹介した。マーレは今季8試合に先発し1勝4敗、防御率5・18、WHIP1・49。表面上の数字だけを見れば、飛びつくような補強ではない。

 だが、昨季はレンジャーズで16試合に先発し、防御率2・18をマークした実績がある。最上級の大物ではなくても、5日に1度試合をつくれる投手は、10月をにらむ名門にとって十分な価値を持つ。マット・ブレイク投手コーチ(41)の修正力を前提にすれば、再生の余地もある。何よりもフリードが負傷したことで、このマーレ獲得プランが一気に加速化する可能性は確かに高そうだ。

 低迷するジャイアンツにとって、31歳のレンタル右腕を長期構想の中心に置く意味は大きくない。一方のヤンキースは、今を逃せば勢いそのものを失いかねない。フリードの検査結果次第で、名門の補強時計は一気に早まる。好調の裏で鳴った小さな警報は、夏のトレード市場を前倒しで動かす導火線になりそうな気配だ。