数字が悪いのに、なぜか落ちてこない。これほど厄介な圧力はない。米老舗誌「スポーツ・イラストレイテッド」の電子版「ON SI」は14日(日本時間15日)、パドレスの〝不気味な強さ〟を論じた。チームは13日(同14日)、敵地アメリカンファミリーフィールドでブルワーズに3―1で逆転勝ち。ドジャースも本拠地ドジャースタジアムでジャイアンツを4―0で下したが、パドレスは25勝17敗、ドジャースは25勝18敗で同日現在、なお0・5ゲーム差の首位に立っている。

 不可解なのは、その中身だ。同メディアはパドレスの攻撃力が決して上位ではない点を強調。打線全体のwRC+は92でメジャー24位、OPSは6割6分7厘でナ・リーグ13位に沈む。一方のドジャースはwRC+119でメジャー2位。数字だけ見れば、ロサンゼルスが独走していても不思議ではない。

 主力も本調子には遠い。フェルナンド・タティス・ジュニア外野手(27)はここまで本塁打なし。マニー・マチャド内野手(33)と、負傷中のジェイク・クロネンワース内野手(32)は打率2割未満、ジャクソン・メリル外野手(23)もOPS+82にとどまる。豪快な打線で相手をねじ伏せているわけではない。むしろ、どこから勝ちを拾っているのか分かりにくいからこそ不気味さが増している。

 投手陣も盤石とは言い切れない。先発で安定感を示すのはマイケル・キング投手(30)、ランディ・バスケス投手(27)らに限られるとの見方があり、ここまで1点差試合も5勝4敗で突出した勝負強さは見えない。救援陣にはメーソン・ミラー投手(27)という剛腕が控え、ブラッドグリー・ロドリゲス投手(22)も新たな光明になっているが、チーム全体の輪郭はまだぼやけている。

 それでも勝つ。そこに今季のパドレスの最大の怖さがある。ドジャースのデーブ・ロバーツ監督(53)にとって戦力値で上回るはずの相手が背後からではなく、前を走っている現実は小さくないストレスになる。大谷翔平投手(31)らスター軍団が白星を重ねても、えたいの知れないライバルが落ちてこなければ、焦りは消えない。

 ON SIが示したのは、単なる〝幸運な首位〟ではない。数字では説明し切れない勝ち方が、王者に心理的な圧をかけているという構図だ。パドレスがこのまま「正体不明の強さ」を続けるなら、西地区の主導権争いは戦力表の見た目以上に厄介なものになる。