泥沼の名門に、今度は場外から火の粉が降りかかった。インド系米メディア「スポーツキーダ」は13日(日本時間14日)、元メッツのノア・シンダーガード氏(33)がポッドキャスト番組「トミ・ラーレン・イズ・フィアレス」に出演し、ピート・アロンソ内野手(31=オリオールズ)とブランドン・ニモ外野手(33=レンジャーズ)の退団を巡って政治的背景を示唆したと報じた。

 メッツは昨オフ、長年の顔だったアロンソをFAでオリオールズへ流出させ、2025年11月にはニモをレンジャーズへトレード。代わりにマーカス・セミエン内野手(35)をレンジャーズから獲得し、ロースターを大きく組み替えた。だが、今季は13日(同14日)現在17勝25敗でナ・リーグ東地区最下位。高額年俸軍団の看板とは裏腹に、期待外れの序盤戦を強いられている。

 そこで火に油を注いだのが、かつて「ソー」の愛称で人気を集めた右腕の爆弾発言だった。2015年にメッツでメジャーデビューし、16年には同球団からオールスターにも選ばれたシンダーガード氏は、民主党所属の「急進左派(プログレッシブ)」として知られる民主社会主義者で今年1月からニューヨーク市長に就任したゾーラン・マムダニ氏(34)の存在を持ち出し、アロンソとニモについて「これまで一緒にプレーした中でも最も保守的な選手たちだ」と説明。2人にとっては、ニューヨークが〝意に沿わない審判〟を下したから離れたと受け取れる持論を展開した。

 むろん、アロンソとニモの退団理由が、政治的信条だったと球団や本人が認めたわけではない。アロンソは5年1億5500万ドル(約240億円)の大型契約で新天地を選び、ニモの放出も編成上の判断として成立した取引だ。それでも人気者2人を失った直後にチームが沈んでいるだけに、元主力投手の発言はファン心理を刺激するには十分だった。

 シンダーガード氏はさらに、メッツがシーズン開幕前にシティ・フィールドでマムダニ市長を迎えたことにも不快感を示し、「社会主義的な市長たちと付き合うのはやめた方がいい」と痛烈に皮肉った。巨額の人件費を投じながら成果が出ていない現状にも疑問を呈し、低迷の原因をグラウンド内だけでなく球団を取り巻く空気にまで広げた格好だ。

 名門再建のはずが、主力流出、成績不振、そして政治的火種まで抱え込む事態となったメッツ。シンダーガード氏の発言は真相の暴露なのか、それとも古巣への過激な警鐘なのか。いずれにせよクイーンズの混迷は、もはや白球の行方だけでは語れなくなっている。