誰もが認める「絶対エース」となった。ソフトバンクは27日の西武戦(ベルーナ)に4―1で逆転勝ちし、2年連続21度目のパ・リーグ制覇を成し遂げた。リバン・モイネロ投手(29)が大車輪の活躍でリーグ連覇に大きく貢献。先発転向2年目となった今季はここまで12勝3敗、防御率1・46と抜群の安定感を誇り、Vロードを力強くけん引した。

 毎週繰り広げられるエース級との対決で一歩も引くことなく、勝ち星を量産。打線の援護が多く望めない難敵との投げ合いで生み出した「貯金9」には、すごみがある。最後までし烈な優勝争いを演じたライバル・日本ハム戦に8度先発。うち6度、相手エースの伊藤と投げ合った。今季のファイターズ戦は4勝1敗、防御率1・87。最大ライバルとの直接対決で圧巻のパフォーマンスを連発し、チームの絶対的な信頼を勝ち取った。

 パ・リーグMVPの最有力候補だ。申し分ないグラウンドでの結果は言わずもがな。だが、それだけでは「絶対エース」にはなれない。モイネロが信頼され、仲間から認められるのには理由がある。そのルーツは母国キューバの少年時代、尊敬する母のしつけにあった。

謎の「仮面」着用でビールかけに参加したソフトバンク・モイネロ
謎の「仮面」着用でビールかけに参加したソフトバンク・モイネロ

「僕のお母さんは怖い。怖かった」。モイネロはそう言って、愛する母・アデラさんに感謝する。21歳の時に来日。アデラさんは愛息を遠く離れた日本に送り出す際、フロント関係者にこう語りかけたという。「私は息子を甘やかさず、厳しく育ててきました。息子は決して人の道を外さず、人から受けた恩を必ず返す人間です」。厳しさやしかられる理由を理解し、他者への思いやりや協調性にたけた青年に育ったモイネロ。言葉や文化の壁を越えて、鷹の絶対エースに上りつめるのは必然だった。

 今夏、来福したアデラさんはモイネロの登板試合を観戦。試合後にモイネロの自宅で夕食をともにしたが、台所に立ったのはモイネロ本人だった。理由は「順番です。その日は僕がつくるターンだったから」(モイネロ)。日本で一番の投手になっても、昔と全く変わらない光景。成功を積み重ねても、おごることなく、大切なものを見失わない。

 決して裕福ではなかった家庭から立身出世を果たした男は、母を喜ばせる生きざまを日本で見せている。