名門フィリーズの再建は、思わぬ父子タッグに託された。米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」傘下のスポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」は14日(日本時間同日)、ドン・マッティングリー監督代行(65)と、息子のプレストン・マッティングリーGM(38)が背負う異例の重圧を特集した。

 フィリーズは13日(日本時間14日)、敵地フェンウェイ・パークでのレッドソックスに1―3で敗れた。アンドルー・ペインター投手(23)が5回1失点と粘ったが、打線はジャスティン・クロフォード外野手(22)の2号ソロによる1点だけ。9回2死二、三塁もアレク・ボーム内野手(29)が空振り三振に倒れ、借金は3。20勝23敗でナ・リーグ東地区3位タイ、首位ブレーブスとは10ゲーム差となった。

 昨季まで4年連続でポストシーズンに進んだ老舗球団の面影は薄い。開幕から9勝19敗、11戦12敗の惨状を受け、球団は4月28日(同29日)にロブ・トムソン前監督(62)を解任。ベンチコーチだったマッティングリー氏に指揮権を預けた。

 マッティングリー氏といえば、ヤンキースのスターとして名を刻み、ドジャースでも監督として2013年から3年連続でプレーオフに導いた大物だ。それでも一度は監督業から距離を置く覚悟を固めていた。記事ではデーブ・ドンブロウスキー編成本部長(69)からの連絡に、野球人生が再び激流へ引き戻されたことを悟った様子も描かれている。

 皮肉なのは、その背後に息子の存在があることだ。プレストンGMは名目上のゼネラルマネジャーながら、実権はドンブロウスキー氏が握る。父は監督室で勝敗の責任を負い、息子は編成側として名簿と補強の議論に加わる。「父子の監督兼GMコンビ」は、美談である前に逃げ場のない職場関係でもある。

 救いは、マッティングリー氏就任後のチームが11勝4敗と息を吹き返している点だ。だが、この日の敗戦が示したように、打線の沈黙と勝負どころの弱さは消えていない。元ドジャース監督の看板、ヤンキースで培った威光、マッティングリー家の血筋。それらは追い風にもなるが、失敗すれば重圧を増幅させる刃にもなる。

 父と息子がフィラデルフィアで同じ夢を追う――。響きだけなら美しい。しかし現実は、名門が沈みかけた船を親子で操る苦難の航海だ。浮上か、さらなる沈没か。フィリーズの今季は、マッティングリー父子の運命までのみ込む局面に入っている。