「どちらが上か」ではない。「抜けた時、より困るのはどちらか」――。ナ・リーグMVP争いに、何とも残酷な物差しが持ち込まれた。米老舗誌「スポーツ・イラストレイテッド」の電子版「ON SI」は25日(日本時間26日)、カブスのピート・クロウ=アームストロング外野手(24)とドジャースの大谷翔平投手(32)の一騎打ちを特集。単純な打撃成績ではなく、WAR(代替選手に対する勝利貢献度)と「チームにとっての不可欠度」から両者の〝リアル評価〟を突きつけた。
同誌によれば、主要12項目のうちPCAが8項目で優位。中でもbWAR7・9、fWAR8・6はいずれもMLBトップで、大谷の6・9、7・0を上回る。過去9シーズンのうち7度、MLB全体または所属リーグのbWARトップがMVPに輝いたというデータも、PCAには強烈な追い風だ。
さらに刺激的なのが現役選手の目線だった。ESPNが21選手に聞いた予想では15人がPCAを支持。アスレチックスのマーク・ライター投手(35)は、PCAが一流の守備力を誇る一方で大谷は守備に就かないとし、「大谷をローテーションから外しても、打線から外しても、戦力は衰えないと思う」とまで言い切った。
何しろPCAは守備でもMLB屈指。カブス132試合のうち128試合に出場し、投手陣のWARがMLBワースト2位の3・7に沈む中、攻撃陣は同トップの31・1。同誌は、その中心にPCAがいると見る。一方の大谷は7月3日(同4日)を最後に左膝の痛みで登板から遠ざかり、打者専念が続く。投手としては14先発で8勝2敗、防御率1・79だけに、この〝片翼状態〟が票の流れを変えた格好だ。
25日終了時点でドジャースは80勝52敗で西地区首位を走り、2位パドレスに9・5ゲーム差。カブスは76勝57敗で中地区2位、首位ブルワーズとは5・5ゲーム差だ。大谷は9月上旬にもマウンド復帰の可能性があり、二刀流を再起動できれば巻き返す余地は十分ある。
ただし、残り1か月で問われるのは名前の大きさではない。毎日グラウンドに立ち、攻守で勝利を積み上げるPCAを、大谷が再び二刀流で追い越せるか。MVP争いは今や「凄さ比べ」から、どちらが本当に欠かせない存在なのかを突きつける〝価値の査定〟へと姿を変えている。












