大型補強の陰で進むとみられていた「整理トレード」は、なぜ土壇場で消えたのか。ドジャースは7月31日(日本時間8月1日)のトレード期限までに、エリック・ラウアー投手(31)とアレックス・コール外野手(31)を放出し、より多くの出場機会を与える可能性が取り沙汰されていた。しかしながら、2人はそろって残留。カリフォルニア州の地元有力紙「オレンジ・カウンティ・レジスター」が報じたブランドン・ゴームズGMの発言から、成立しなかったプランの真相が浮かび上がった。

エリック・ラウアー(ロイター)
エリック・ラウアー(ロイター)

 ゴームズGMは期限終了後、「うわさはうわさに過ぎない」と一蹴。「我々は2人に非常に良い印象を持っている。チームに貢献できること、これまで成し遂げたこと、今後成し遂げることにも満足している」と語り、放出ありきで交渉を進めていたとの見方を封じた。説明というより、戦力として必要だと宣言したに等しい。

 特に不可解とみられたのがラウアーの残留だ。ドジャースはタイガースからスクバル、ロイヤルズからブビックの投手2人を獲得。それでも左腕を手元に残した背景には、ブビックが60日間の負傷者リストに入っている事情がある。スネルとグラスノーも復帰途上で、先発陣に再び故障者が出るリスクを考えれば、ラウアーはぜいたく品ではなく「保険」だった。

 米老舗誌「スポーツ・イラストレイテッド」の電子版「ON SI」も5日(同6日)、ゴームズGMの発言をあらためてピックアップし、ラウアーの残留について「実績も決断を後押しした」と論じている。5日のカブス戦前まで、チームはラウアーの登板試合で9戦全勝。本人も51回2/3を投げて防御率2・96だった。同戦では4回11安打6失点と崩れ、防御率3・72となったが、短期決戦を見据えるチームにとって先発も救援も担える左腕の価値は小さくない。

アレックス・コール(ロイター)
アレックス・コール(ロイター)

 一方、コールは打率2割4分6厘、1本塁打、16打点。派手さはなくても右打ちの外野手として主力を休ませる役割をこなし、球団が保有できる期間も3年残る。ただ、ロースターには右打者が多く、出番が限られる構造は変わらない。今オフに再びトレード候補となる可能性は残るが、少なくとも今季は控えの厚みを取った。

 2人が残留を強く望んでいたことも含め、ドジャースは出場機会の整理より層の厚さを優先した。ゴームズGMの「うわさはうわさ」という短い言葉は、世界一へ向けて一人も余らせないという方針の裏返しだったと言えそうだ。