たとえ白星を積み重ねても、欲しくない地位がある。低迷するメッツを立て直しつつあるアンディ・グリーン監督代行(49)に、来季の正式監督就任を望む空気が強まっている。ところが本人は、その座にむしろ距離を置いている。理由は待遇でも権限でもない。最優先したいのは「家族」だった。
米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」傘下のスポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」は28日(日本時間29日)、グリーン監督代行が来季以降の正式なメッツ監督就任に消極的な背景に焦点を当てている。メッツは6月26日(同27日)、34勝47敗と沈む中でカルロス・メンドーサ監督を解任し、グリーン監督代行へとシフトチェンジした。その後は26勝27敗。勝率4割9分1厘とほぼ五分まで持ち直し、選手からも「有能でごう慢さがない」と敬意を集めている。
それでもグリーン監督代行の気持ちは揺れていない。妻ジェシカさんとの間には3人の娘がおり、双子のエミリーさんとアンナさんは高校生活を残すところ1年。長女レイニーさんはすでに大学生だ。一家はテネシー州に暮らし、グリーン監督代行がメッツでかつて3シーズンにわたってファーム部門を統括していた間もニューヨークへ転居しなかった。
グリーン監督代行は同サイトに「家族のことは本当に大切です」と明かし、「どんな父親でもそうであるように、私もできる限り子供たちと一緒に過ごしたい」と胸中を吐露。監督は遠征を含め、シーズン中はほぼ毎日チームに帯同する。
一方、フロント職は仕事量こそ重いものの、日程面では比較的融通が利く。そのため球団側も、来季は従来のフロント業務へ戻ることを基本線としている。
デビッド・スターンズ編成本部長も、その思いを尊重する。「家族の近くにいたいという彼の希望は称賛に値する」とし、本人が自分にとっての充実とは何かを「誠実で真摯」に考えていると評した。GM職が空けば候補になる可能性もあるという。
もちろんチーム自体はなおナ・リーグ東地区首位から19ゲーム差、ワイルドカード圏にも12ゲーム差。苦境を覆したとは言い難い。それでも、就任時には期待すら乏しかったチームを競える集団へ変えた手腕は確かだ。勝てば勝つほど正式就任を求められる――。だが、父親として失えば取り戻せない時間がある。グリーン監督代行が守ろうとしているのは、メッツの勝率以上に娘たちと過ごせる「今」なのだろう。












