「帰還」と呼ぶには、あまりにも皮肉な再会だ。ドジャースのタリク・スクバル投手(29)が28日(日本時間29日)、古巣タイガースの本拠地コメリカ・パークで先発する。8月1日のトレードから、わずか27日。慣れ親しんだデトロイトのマウンドに、今度は「敵」として立つ。
米全国紙「USA TODAY」は28日、タイガース側に広がる複雑な胸中を特集した。ヒンチ監督は「来年だったらよかったのに」と吐露。「あの感情をもう一度味わいたくはない。胃のあたりが締め付けられるような気分になる」と、あまりに早い再会への本音を明かした。
タイガースは当初、今季終了後にFAとなるスクバルを10月まで抱え、1984年以来となる世界一を目指す青写真を描いていた。だが7月29日(同30日)のオリオールズ戦で7回に7―0とリードしながら、延長12回の末に9―10で逆転負け。51勝58敗となったその夜、球団はエース放出へかじを切り、3日後にドジャースへ送り出した。ヒンチ監督が「われわれ全員にとって最も痛ましい敗戦の一つ」と振り返る一戦が、別れの引き金になった。
2018年ドラフト9巡目でタイガースに指名された左腕は、球界屈指の投手へ成長し、サイ・ヤング賞を2年連続で受賞。本人はトレードを望まず、シーズンをデトロイトで全うするつもりだったという。それだけに、古巣にとっても単なる「元エースとの対戦」では済まない。ドジャース移籍後は4試合に先発して1勝2敗、防御率3・38。それでも古巣との初対決を前に「感情の整理は、たぶん試合後にする」と勝負師の顔を崩していない。
一方、タイガースは62勝71敗で、移籍後も9勝12敗。ポストシーズン進出は極めて厳しい。それでもヒンチ監督は、スクバルには「歓迎の拍手」が送られると予想する。ドジャースのロバーツ監督も「デトロイトの街への貢献に触れ、多くの人が感謝を示すだろう」との見方を示した。街と球団に残した功績への敬意は消えない。ただ、その拍手の直後から倒すべき相手になる。
別れを惜しむ暇さえないまま迎える、27日ぶりのコメリカ・パーク。温かな「おかえり」と冷徹な勝負が同居する一夜は、タイガースにとってエースを手放した現実を改めて突き付ける様相を呈し、何とも残酷な再会となる。












