レッドソックスにしてみれば、これほど目を背けたくなる9イニングもなかっただろう。ブレーブスのクリス・セール投手(37)は27日(日本時間28日)、本拠地トゥルーイスト・パークでのドジャース戦に先発し、9回109球を投げて5安打無失点、11奪三振、無四球。1―0の完封勝利で今季13勝目を挙げ、チームを3連勝のスイープへ導いた。完封はレッドソックス時代の2019年6月5日以来、実に7年ぶりだった。
圧巻だったのが、大谷翔平投手(32)との対決だ。3回には2018年以来となる100・1マイル(約161・1キロ)を計測する直球をファウルさせ、最後はスライダーで空振り三振。5回にも高めの99・6マイル(約160・3キロ)でバットに空を切らせた。大谷は4打数無安打2三振。37歳の左腕が、球界最高峰の打者を力でねじ伏せた。
これを見て、地団駄を踏みたくなるのが古巣レッドソックスだろう。米老舗誌「スポーツ・イラストレイテッド」の電子版「ON SI」は、ボストンがセールをブレーブスへ放出したトレードについて「これほどまでに失敗するとは予想もしていなかった」との趣旨で再検証。セールはレッドソックス在籍6年間で、選手の総合貢献度を勝利数に換算する指標「bWAR」が17・0だった一方、ブレーブス移籍後わずか2年3か月で15・3まで積み上げたと指摘している。
レッドソックスは23年12月、故障続きだったセールと金銭をブレーブスへ送り、当時の有望株だったヴォーン・グリソム内野手(25)を獲得した。ところがセールは移籍1年目の24年に18勝3敗、防御率2.38、225奪三振で投手3冠に輝き、ナ・リーグのサイ・ヤング賞を初受賞。一方のグリソムはボストンで定着できず、25年12月にはエンゼルスへトレードされた。
そして今季もセールは衰え知らずだ。27日の登板を終えて防御率2・06。24先発のうち23試合で3失点以下と抜群の安定感を誇り、過去21先発では防御率1・83。この日は山本由伸投手(28)との投げ合いまで制し、世界一2連覇中のドジャースを封じ込めた。
故障歴を踏まえれば、当時の放出判断に一定の合理性はあった。それでも結果はあまりに皮肉だ。手放したのは衰えた元エースではなく、まだ頂点に立てる左腕だった――。27日の快投は、その現実をボストンにこれ以上ないほど残酷に突きつけた。












