不振の主役が二刀流に移っても〝もう一人の大誤算〟が消えたわけではない。ドジャースは2日(日本時間3日)、本拠地でカージナルスに延長10回の末、6―8で敗れ、直近8戦で6敗目。大谷翔平投手(32)が4打数無安打4三振と沈んだ一方、カイル・タッカー外野手(29)は1安打1四球をマークし、今季10盗塁目も決めた。だが、この程度で巨額契約1年目の期待外れが帳消しになるはずもない。

 米メディア「ジャスト・ベースボール」は3日(同4日)、長年メジャー屈指の実力者として「キング・タック」の異名を取ったタッカーの凋落を特集した。今季は2日終了時点で131試合に出場し、打率2割2分7厘、11本塁打、58打点、OPS0・679。対する大谷は129試合で打率2割7分9厘、30本塁打、80打点、OPS0・906。ここ最近は大谷の大不振に視線が集中しているが、シーズン全体を見ればタッカーの低迷の方がはるかに根深い。

 直近30試合でもタッカーは打率1割9分2厘、2本塁打、7打点、長打率2割9分3厘。しかも昨オフ、ドジャースが4年総額2億4000万ドル(約377億円)を投じた超大型補強だ。2021~25年には年平均で打率2割7分2厘、出塁率3割6分6厘、長打率5割2厘、26本塁打を残してきた男だけに、落差はあまりにも大きい。これでは本拠地で矛先が向き〝戦犯〟扱いされても不思議ではない。

 実際、8月中旬には守備で痛恨の捕球ミスを犯し、ドジャースファンから激しいブーイングを浴びた。同メディアによれば、今季の守備貢献度を示すFRVはメジャー下位6%。バットスピードも前年から0・6マイル落ちて71・3マイルとなり、ボール球スイング率は17・6%から24・7%、初球スイング率も36・3%から41・9%へ上昇した。打撃、守備ともに崩れ、その原因についても明確な答えが見つかっていないというから厄介だ。

 大谷には右上腕二頭筋と左ヒザの不安があり、ロバーツ監督も2日の試合後、スイングが本来のものではなく、身体のどこかをかばっている可能性を示唆した。一方、タッカーも6月に腰のけいれんで一時離脱したとはいえ、現在の長期低迷を説明するような故障は公にされていない。

 大谷には休養という処方箋が浮かぶ。タッカーは、何を直せばいいのかさえ定まらない。3連覇へ向かうドジャースの足元で、より不気味にくすぶっているのは〝原因不明の377億円問題〟の方だ。