プロ野球のペナントレースが終盤戦に突入し、今オフに向けた水面下の動きも加速している。多くのMLB球団が熱視線を送っているのが、セ・リーグの3冠王に君臨する阪神・佐藤輝明内野手(27)だ。実力はもはや非の打ちどころなし。世界各国の強豪が勢ぞろいするメジャーでの活躍に「◎」をつけた米スカウトが高評価した〝仮面〟とは――。
〝輝詣で〟が過熱の一途だ。昨季のリーグMVPは今季も絶好調。7日までに出場した122試合で打率3割2分、35本塁打、92打点の大活躍を見せ、打撃の主要3部門ですべてトップに立つ。
佐藤は早ければ今オフにも、ポスティングシステムで米球界に挑戦する可能性がある。同制度を利用するには阪神球団の承認が絶対条件となるが、今や日本球界を代表する強打者となった虎の至宝をメジャー球団が放っておくわけもなかった。1~3日に行われたヤクルト戦(神宮)には10球団以上のMLB関係者が集結。直接的に獲得に関わる各チームの球団幹部や、プロスカウトたちも数多く球場に姿を見せた。
スカウトたちが目を光らせたのは、試合中のプレーだけではない。試合開始の2時間前には来場し、開門とともにスタンドに陣取って試合前の打撃練習も動画で収集。佐藤獲得への〝本気度〟を物語る熱の入れようだった。一方の佐藤も3連戦で計4本塁打。日本選手ではNPB最速に並ぶプロ6年目で通算500打点に到達するなど、実力を遺憾なく発揮してみせた。
視察したMLB球団の要職に就く関係者の一人は、佐藤の働きぶりに「もちろん素晴らしい」と申し分なし。同時に打つ、投げるといった技術的なパフォーマンス以外にも「◎」をつけた。それが背番号8の所作だった。
「いつも黙々と一定のリズムでプレーし、喜怒哀楽をほとんど表に出さない」。決して〝暗い〟という意味合いではない。どんな状況下に置かれても自分で感情をコントロールし、ブレることなくプレーを続けていることに好印象を抱いたという褒め言葉だ。
実際、佐藤は3連戦中に本塁打を放ってダイヤモンドを一周する間や適時打をマークした後も、ベンチで歓喜するナインに控えめに応じた程度。必要以上に喜びを表すことはなかった。
また、2日の同戦では前打者の森下がストライク判定に不服そうな態度を示し、球審との間に不穏な雰囲気が漂った。すると、打席を待っていた佐藤がすぐさま両者の間に割って入り〝仲裁〟する場面もあった。冷静でなければできない振る舞いに、米関係者たちも感銘を受けたという。
試合中は〝鉄仮面〟をかぶったかのようであっても、佐藤には封印していた感情がある。
「試合が終わって勝利が確定し、仲間とハイタッチした時、試合中には見られなかったビッグ・スマイルを見せたんだ。それを見て『コイツは間違いなくいい選手』と思ったよ。メジャーでもただ打つ、投げるだけじゃないチームの中心的存在になる。スーパースターになれる人間の振る舞いだ」(同)
どの国の野球であってもチームの勝利を最優先に考えながらプレーできる選手には、技術以外の価値が加わる。2022年の村上(ホワイトソックス=当時ヤクルト)以来となる3冠王を射程に入れるNPB最強打者。その評判は全米に広がりを見せている。












