セ・リーグ首位の阪神は2日のヤクルト戦(神宮)に4―3で競り勝って4連勝。後半戦の開幕カードに敵地でスイープを飾る幸先のいい滑り出しを見せた。2位に食い下がる巨人とは2ゲーム差に拡大。昨季のセ界王者として強さをにじませる一戦ではあったが、本紙評論家の伊勢孝夫氏が藤川球児監督(46)の用兵から感じ取った〝焦り〟とは――。
【新IDアナライザー・伊勢孝夫】まずはヤクルトについて触れておこう。長打の気配がほとんどない現状の打線では、相手投手陣に怖さや威圧感を与えることが全くできない。この日マークした10安打も大半がポテン系。開幕当初はあれだけ明るかった池山監督の表情が日に日に暗くなる一方なのも悲しい。何とかチームを立て直してほしいところだが、このままでは難しいだろう。
一方でどちらに転んでもおかしくなかった接戦を3つ勝ち取った阪神には横綱としての風格が漂う。またも白星に恵まれなかったが、この日先発した下村もいい投手だ。何よりも走者を出した状態で森下、佐藤、大山らに打席を回せば、その圧力だけで相手バッテリーを自滅へ追い込むことができる。依然として優勝候補筆頭であることは間違いない。
とはいえ、藤川監督による選手の起用法には疑問を感じるところも多かった。攻撃面では右肩甲骨の骨折を経て7月31日のファーム戦で実戦復帰したばかりの前川をこの日一軍に昇格させ「6番・左翼」として即スタメン起用。立石や新外国人のガルシアが結果を出せていないこともあるが、あまりにも時期尚早だったと思う。
打撃ではスイングスピードを欠き、守備面では初回に信じられないような外野からの悪送球で失策を記録。状態が万全ではないことをうかがわせた。
継投面では木下、工藤らの若手リリーバーを3連投でマウンドへ。不安定な投球が続いていた岩崎に信を置けなかったことは想像に難くないが、まだ8月上旬。一軍経験が圧倒的に足りない彼らに対してムチを入れるには早すぎると感じた。
多くの試合を雨で流してきた阪神は9月以降の振り替え試合の追加で、日程が過密になることが予想される。その時期になって今の無理がツケとして返ってくる恐れすらある。
昨季の8月2日終了時点で阪神は2位・DeNAに12・5ゲームもの大差をつけていた。ここまで開いていればあとは馬なりで戦えたが、巨人が僅差で追い続けてくる今季は事情が違う。今こそ勝負の9月を見据えたマネジメントが必要なのに、藤川監督の用兵には焦りの色を感じてしまう。
(本紙評論家)













