崖っぷちだからこそ、あえて「優勝」を叫ばない。巨人は18日の中日戦(東京ドーム)に2―0でサヨナラ勝ちし、連敗を3で止めた。首位・阪神も勝ったため1ゲーム差は変わらない。巨人の残り11試合に対し、阪神は14試合。追う側に足踏みは許されず、この一勝の意味は小さくない。
先発の井上は8回110球、4安打無失点、7奪三振の力投。打線は中日先発・金丸に封じられ、8回までわずか3安打だった。だが9回一死一塁、3番・泉口がスライダーを捉え、右翼席へ8号2ラン。プロ初のサヨナラ弾で重苦しい空気を振り払った。
橋上秀樹監督代行(60)は「なかなかチャンスらしいチャンスもなかった。こういう試合は本塁打で決まると思っていましたが、まさかあそこで出るとは。本当にいい勝利だと思います」と泉口をたたえた。
巨人は首位奪取を狙った前カードのDeNA戦で痛恨の3連敗。15日の大敗後、橋上監督代行は緊急ミーティングを開き「まだチャンスはある」と選手を鼓舞した。
ありふれた言葉にも映るが、その裏には計算がある。チーム関係者は「従来なら『絶対優勝するぞ』と強く鼓舞する場面だが、橋上監督代行は『優勝』という言葉をあえて口にしていない。経験の浅い若手も多く、必要以上の重圧を背負わせないためだと思う」と狙いを推し量る。
その言葉は緊急ミーティング限りではない。橋上監督代行は、その後も「まだチャンスはある」と繰り返し伝えているという。同関係者も「その言葉を信じ、目の前の試合を一つずつ勝つしかない」と話す。優勝を声高に叫ばず、視線を「今日の一勝」へ向けさせる。それが橋上流だ。
試合後も橋上監督代行は「現状はわれわれが勝つしかない。そのことだけに集中して、この後の一戦一戦に集中していきたい」と冷静だった。平常心を貫ける限り、巨人の逆転Vへの扉はまだ閉じていない。












