ドジャースの強さに、新たな推進力が戻りつつある。主役はオフに新加入したカイル・タッカー外野手(29)だ。5月31日(日本時間6月1日)の本拠地フィリーズ戦で、ドジャースは9―1と快勝。大型連勝は一度止まったものの、38勝21敗でナ・リーグ西地区首位を堅持し、2位パドレスに5・5ゲーム差をつけた。

 その快進撃の中で、タッカーは復調気配を見せている。カリフォルニアの地元紙「カリフォルニア・ポスト」は、4度のオールスター選出を誇る新戦力が「自分らしさ」を取り戻そうとする姿に焦点を当てた。移籍当初は本来の破壊力を示し切れず、今季通算でも打率2割4分2厘、4本塁打、27打点、OPS0・729にとどまっている。

 それでも底を打ったままでは終わらない。開幕月は打率2割3分3厘、OPS7割未満と苦しんだが、打順変更と打撃アプローチの微修正を経て、その後の28試合では打率2割6分8厘、OPS0・849まで上昇。フィリーズとのカードでは一時16打数1安打と再び停滞したが、31日は4打数2安打1打点。3回に一塁ベースを直撃する適時打を放つと、5回には右翼フェンス直撃の二塁打をマークした。

 徐々に復調しつつある打撃の裏側には、地道な修正作業がある。普段はクラブハウス内のケージで調整するタッカーが、前日には珍しく屋外で2度の打撃練習を実施。デーブ・ロバーツ監督(54)は「今日の彼は本来の彼らしさをより強く感じさせた」と評価した。ボール球への手出しや空振り率上昇という課題は依然として残るが、手応えは出始めている。

 ドジャースにとっては大きい。大谷翔平投手(31)が打線の中心で相手バッテリーに重圧をかけ、フレディ・フリーマン内野手(36)、マックス・マンシー内野手(35)らが厚みを加える中、タッカーが本来の選球眼と長打力を取り戻せば、打線の逃げ場は一気になくなる。31日の試合でも先発全員が出塁し、山本由伸投手(27)は5回1/3を無失点、10奪三振。投打がかみ合う王者の輪に、タッカーも溶け込み始めた。

 直近17試合で14勝、5カード連続勝ち越し。連勝中という表現こそ正確ではないが、ドジャースの勢いは落ちていない。大谷を軸にしたスター軍団にタッカーの本領が重なれば、西地区の独走ムードは一層濃くなる。

 新天地で苦しんだ2億4000万ドル(約383億円)男の〝地味な反撃〟は、チームをより強固な存在へ押し上げようとしている。