阪神は19日の広島戦(甲子園)に4―2で競り勝ち、4カード連続の勝ち越し。2番手として登板した工藤が今季2勝目(0敗)を手にした。
若虎・前川が死球で右肩甲骨を骨折したカード第1戦。鯉2番手・ハーンが投じてしまったインサイドへの抜け球に佐藤が激高し、一触即発のムードに包まれた同2戦。死球禍が大きくクローズアップされた流れの中、同3戦の試合前のグラウンドには、不信と怒りとフラストレーションの残り香がまだ濃密に漂っていた。
この日の8回にハーンがまたも制球を乱して虎の5番・大山に死球を直撃させてしまったことで、ついに藤川監督はベンチを駆け出しフィールド上の相手バッテリーに詰め寄ろうとする。これに呼応するかのように両軍のナインもフィールド上になだれ込んで乱闘寸前のムードに包まれたが、荒れた選手たちを冷静になだめてベンチへ戻るように促していたのが虎の扇の要・坂本誠志郎捕手だった。
試合後、この一幕について問われた坂本は、冷静な口調で以下のように語る。
「グラウンド上では皆、『やるか、やられるか』でやっている。それはこっちもそうだし、向こうもそう。熱くなるのは当たり前です。実際ケガ人も出て苦しいのはこっち。でも、そういう厳しいところで勝負できないとやっていけないのは分かっている」。
弱肉強食の大原則や野球競技の特性はプロアスリートとして受け入れた上で、勝負への執念と一戦を終えれば切り替える姿勢の大切さを虎の主将は説く。
「だから、強い気持ちをみんなが持って野球をやるのは大事だし、そういう勝負を楽しんでもらうのが一番。でもやっぱり、チームを守るためにもみんなで戦っていかないといけない。これを続かせてっていうか、響かせるのは良くないので、また次のカードで思い切り勝負するし、球宴が明けてカープさんと試合をする時は、フラットに思い切り勝負すればいい」
捕手としての実力を開花させる前の若手時代から、リーダーシップとその人格を高く評価されてきた背番号12。いわくつきの一戦を終えた直後だったが、自身の感情を整理しながらチームの進むべき方向性を提示した姿には、年齢以上の貫禄が漂っていた。













