昨秋ドラフト会議でソフトバンクが1位指名した米スタンフォード大の佐々木麟太郎内野手(21)が19日に岩手県花巻市内で記者会見に臨み、今月中旬に行われたMLBドラフトで8巡目(全体235位)指名を受けたマーリンズへの入団を正式に表明した。「自分の生き方として『失敗したか、しなかったか』ではなく『挑戦したか、しなかったのか』を選ぶ人生にしたい」と真意を説明。くしくも尊敬するソフトバンク・孫正義オーナー(68)のパイオニア精神を引き継ぐ「男の決断」があった。
初志貫徹の選択だった。「新たな道の開拓が使命、宿命」。花巻東時代に歴代最多の高校通算140本塁打を放ち、プロ志望届を出さずに名門スタンフォード大に進学。高卒時点でNPBのドラ1候補だった有望株がたどる〝新たなルート〟は大きな注目を集め、NPBを経由しない〝その先〟の進路に多くの野球ファンが夢を見る存在となっていた。
会見では数年来の鷹の誠実な対応に感謝の思いがあふれ、何度も涙を拭う場面があった。城島CBOや球団幹部、スカウトらが高校時代から熱心に視察。継続的に最大級の関心を示され、今月上旬に行われた面談では、改めて高い評価を直接伝えられていた。
メジャー志向の強い21歳の最終目標は「世界的選手」。最適な到達ルートを模索する中で、ソフトバンクの親身な育成方針が胸に響いた。故郷の岩手に戻り、家族会議などを経て熟考。最後は信念を貫く形でマーリンズ入りを決めた。
自分らしい選択をする上で、背中を押されたはずだ。佐々木が最も尊敬する人物は、くしくもソフトバンクを率いる孫正義オーナー。高校を中退して単身渡米し、世界的経営者となったパイオニアの生きざまに共鳴し、影響を受けた人物だった。
孫オーナーは昨秋のドラフト指名後、佐々木が自身に強い尊敬の念を抱いていることを伝え聞いていた。それでも表立って熱烈なラブコールを送ることを良しとしなかった。面談で流されたビデオメッセージなどでも佐々木の境遇を気遣い、今に至る自身の生い立ちを振り返りつつ、信念を貫く決断にこそ意義があると説いたという。
今月1日に佐々木が本拠地みずほペイペイドームを訪問した際、顔を合わせた王球団会長は「どこでやるにしても、とにかく野球を頑張ってくれたらいい」と、決して多くを語ることはなかった。交渉の陣頭指揮を執った城島CBOも終始「待ちの姿勢」を強調。無用な気遣いを嫌い、男の決断を促した。仮に方針を転換するにしても、自分が納得した上での選択であれば悔いは残らない。孫オーナーの考えが一貫して踏襲されているようだった。
チームの核となる選手として指名し、縁があれば理想をかなえるために全面的にサポートする準備を整えていたソフトバンク。「彼が今後、世界的な名選手になってくれれば、我々の評価も正しかったという証明になる」(城島CBO)。
数年かけて進めてきた大勝負は、望む結果とはならなかった。だが、球団の理念を対外的に示しつつ、佐々木に続く新世代の有望株に〝有効な選択肢〟があることを示す貴重な機会になったことは間違いない。













