〝万年下位〟のレッテルをはがし、若きマーリンズが10月戦線の台風の目に躍り出た。

 米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」傘下のスポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」は17日(日本時間同日)、今季のマーリンズが「なぜここまで強くなったのか」を特集した。16日(同17日)時点で52勝45敗とし、ナ・リーグのワイルドカード3枠目を確保。4番手カージナルスに1ゲーム差をつけ、2023年以来のポストシーズン進出を視界に捉えている。

 転機は6月1日(同2日)だった。5連敗を喫し、勝率5割を8ゲーム下回る今季ワーストまで沈んだチームに、クレイトン・マッカロー監督(46)はミーティングで「そこにいない選手を気にせず、今いる戦力には勝つだけの才能がある」と断言した。そこから一変し、チームは26勝11敗。故障者を嘆く空気を断ち切り、平均年齢27・5歳の若い集団に自信を植え付けた。

 最大のストロングポイントは投手力だ。サンディ・アルカンタラ投手(30)、エウリー・ペレス投手(23)、マックス・マイヤー投手(27)の先発3本柱がそろって上昇。6月以降の先発防御率3・18はナ・リーグトップで、アルカンタラは130回3分の2を投げてMLB最多投球回、防御率3・99と復活を遂げた。実績の乏しい救援陣も奮闘し、5球団を渡り歩いたマイケル・ピーターセン投手(32)は41回で防御率3・07、48奪三振。昨年7月にブレーブスから金銭トレードで獲得した右腕が、ブルペンの柱へ化けた。

 野手でも〝発掘力〟が光る。2024年4月にウェーバーで獲得したオットー・ロペス内野手(27)は球宴に選出され、127安打、26二塁打、打率3割3分4厘はいずれもナ・リーグトップ。カイル・ストワーズ外野手(28)らも打線に厚みを加え、100打席以上でwRC+100以上の打者は7人を数える。無名や他球団で構想外となった選手を拾い上げ、弱点を修正して主力へ育てる。それが資金力に頼らないマーリンズの生命線だ。

 この成長集団へ飛び込む道を選んだのが、米スタンフォード大の佐々木麟太郎内野手(21)である。マーリンズは12日(同13日)のMLBドラフト8巡目、全体235位で指名。佐々木は25年のNPBドラフトでソフトバンクが競合抽選の末に1位で交渉権を獲得していたが、15日にマーリンズ入りの意思を固めたことが明らかになった。

 もちろん、その選択を今季の好調だけに結びつけることはできない。ただ、素材を見抜き、出場機会を与え、メジャーで通用する戦力へ磨き上げる土壌は、佐々木にとっても大きな意味を持つ。24年の100敗から昨季は79勝83敗まで立て直し、今季は2009年以来の多さとなる87勝ペース。かつて主力放出を繰り返した球団は今、戦力を厚くして勝負に出る側へ変わろうとしている。

「勝利への強い渇望がある」とアルカンタラ。佐々木が選んだマーリンズは未来の夢だけでなく、今季の10月も現実に変えようとしている。