主役の座は、打って奪うだけではない。ドジャースのカイル・タッカー外野手(29)が、今オフのFA交渉で最後まで有力候補だったブルージェイズへの率直な思いを明かした。

 米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」傘下のスポーツ専門メディア「ジ・アスレチック」によれば、タッカーはトロントについて「本当にいいチーム」「いい組織だ」と高く評価。2024年には、当時アストロズ所属だった自身が右すね骨折からの回復過程で、敵地ロジャース・センターの新しいリハビリ施設を使わせてもらった経緯もあり、その厚遇を「感謝している」と振り返っている。

 アーニー・クレメント内野手(30)がフロリダまで会いに行き、ジョージ・スプリンガー外野手(36)らも質問に応じるなど、トロント側の勧誘はかなり具体的だった。それでも、最終的にタッカーが選んだのはロサンゼルスだった。契約は4年総額2億4000万ドル(約383億円)。タッカー本人は「残りのキャリアをどこで過ごし、家族を育てたいかも含めて考えた」と説明しており、条件面だけでなく生活環境まで含めた総合判断だったことをにじませた。大谷翔平投手(31)、山本由伸投手(27)らを擁する常勝軍団に加わった新戦力は、まさに熟慮の末の決断だったと言えそうだ。

 そのタッカーは7日(日本時間8日)、敵地ロジャース・センターでのブルージェイズ戦に「3番・右翼」で先発出場。5打数1安打1打点、3三振だったが、9回に右前適時打を放ち、チームの4―1の勝利にダメを押した。

 試合は山本が6回0/3を5安打1失点、6奪三振と好投し、ドジャースは5連勝。タッカー自身も同日時点で11試合に出場し、41打数11安打の打率2割6分8厘、1本塁打、8打点、3盗塁、OPS.720。派手な爆発ではない。それでも勝負どころで仕事を果たすあたりにドジャースが、この29歳を必要とした理由がにじみ出ている。