日本ハムの将来担う吉田輝星、清宮に足りないものは…OB田中幸雄氏が育成システムの“穴”指摘

2021年05月15日 06時15分

ともにドラフト1位で入団した日本ハム・清宮(左)と吉田

 日本ハムOBの田中幸雄氏(53)は古巣の低迷の原因は二軍の低迷にあるという。今季は14日現在でイースタン・リーグ2位と健闘しているが、2012年から昨年までの9年間は6位と7位を行ったり来たり。緊急提言の後編でもレジェンドの熱い思いがほとばしった。

 ファイターズ二軍は11年の優勝を最後に長らく低迷しています。12年以降は6位―7位―7位―6位―6位―6位―7位―7位―6位タイと惨憺(さんたん)たるもの。15年から3年間にわたって二軍監督を務めた私にも、その責任の一端はあります。

 二軍は鍛錬の場でもあり、一軍のように目先の勝利や順位が絶対ではありません。しかし、同じ過去9年間でソフトバンクはウエスタン・リーグで5年連続を含む優勝7回。果たして両チームの差は「資金力」だけが要因でしょうか?

 プロにもいろんなタイプがいて入団時から「こいつはモノが違う」という選手がいます。ファイターズなら西川遥輝、近藤健介がそのタイプ。彼らは高い能力に加え、自分に必要な課題を理解していて、自主的に質の高い練習ができます。現在はエンゼルスで活躍する大谷翔平もそうでした。

 ただ、そんな手のかからない選手はごく一部。なかには言われなければやらない選手や言われてもやらない選手だっています。私が二軍監督を務めていた時に「マシンを前に出して速球に対応する練習をしよう」と提案したら「フォームが崩れるので嫌です」と拒否した選手がいました。打ちやすいボールを打ちやすいフォームで繰り返し打つのは自己満足でしかありません。

 ファイターズでは03年のヒルマン監督就任から〝メジャー流〟へとシフトしていきました。選手の能力を多角的に数値化する独自の「ベースボール・オペレーション・システム」を他球団に先駆けて導入したのも、その一環です。もちろん、これを否定するつもりはありませんが、一つだけ指摘したいのは日本とメジャーでは選手層が圧倒的に違うという点です。

 世界中から選手が集まり、ルーキーリーグから3Aまで下部組織だけでも巨大なピラミッドが形成されているメジャーに対して、日本では三軍組織が充実したソフトバンクや巨人でさえ抱えている選手は育成を含めて90人程度。明日、クビになるかもしれない不安と背中合わせでしのぎを削る米球界では自主性に任せても問題ありませんが、日本では「親御さんから預かった選手」を大事に育てるしかないのです。

 強固な城壁は大きな石と小さな石をバランスよく組み合わせることで完成します。優勝を狙う上で大事なのは中田翔や西川、近藤のような主力の奮起だけでなく、控えクラスや一、二軍を行き来するB、Cランクの選手をいかに戦力として組み込むか――。マニュアル通りに試合で使うのではなく、練習に多くの時間を割いて成長を促した方がいいタイプもいます。

 センスだけで生きていけるほどプロ野球の世界は甘くありません。古い考えだと笑われるかもしれませんが、令和の世でも最後に勝つのは人より鍛錬を積んだ選手です。

 ファイターズではキャンプ中でもユニホームが泥だらけの選手をほとんど見かけません。打球に飛び込んでみて初めて、どう起き上がって、どう投げればアウトを奪えるか分かるもの。練習でしないことを試合でできるはずがありません。過去3年間で2度もファイターズの併殺数がリーグワーストだったこととも無縁ではないはずです。

 投手もそう。期待値が高いのであえて名前を挙げますが、3年目を迎えた吉田輝星にも物足りなさを感じています。打者目線で見ていて腕の振りは弱いし、制球もいまいち。右足の蹴り、腰の回転、リリース…どれをとっても力強さが感じられません。

 打の清宮、投の吉田はファイターズの将来を担うべき選手であり、ファンにとっても期待の星。2人に限らず、未来のある若手にはもっとどん欲になってもらいたいと願っています。

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