金満への反感すら、いまや最強軍団を彩る勲章だ。ドジャースが球界最高峰の左腕までのみ込んだことで「MLB史上最強の嫌われ者」へと完成形に近づいた。米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」傘下のスポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」は4日(日本時間同日)、ドジャースを「新たな悪の帝国」と位置づけ、その強さと反感が表裏一体になっている深層をクローズアップした。

 ドジャースは1日(同2日)、タイガースからタリク・スクバル投手(29)を獲得。MLBの有望株ランキングでトップ100入りする2人を含むマイナー3選手を差し出し、2024、年に2年連続でア・リーグのサイ・ヤング賞に輝いたエースを手中に収めた。24、25年のワールドシリーズを連覇した王者が、3連覇へ向けて最大級の補強を敢行した格好だ。

 同サイトが指摘したのは、単に「資金力にものを言わせた」という批判だけではない。ドジャースの総年俸は4億2900万ドル(約703億5600万円=1ドル164円換算)に達するとされ、小規模市場の球団との格差を象徴する存在となった。一方で、巨額投資だけでは説明できない編成力、育成力、潤沢な選手層を併せ持ち、勝利を必然に近づけているからこそ、他球団のファンにとって一層腹立たしい存在になっている。

 しかも、やっかいなのはスター軍団でありながら、選手個々には好感を抱かせる顔ぶれがそろっている点だ。大谷と山本は世界的な人気を誇り、ベッツやフレディ・フリーマンも実績と人間性で支持を集める。チームは憎らしいほど強いのに、所属選手まで嫌い切ることは難しい。この矛盾が、ドジャースをただの金満球団ではなく、見る者の感情を揺さぶる巨大コンテンツへ押し上げている。

 記事は、かつて全米から憎まれ、同時に「悪の帝国」と恐れられたヤンキースや、NFLのペイトリオッツ、NBAのブルズなどを例示。圧倒的な王者には、観客が倒される瞬間を待ち望む「悪役」としての役割があると説いた。25年のワールドシリーズでブルージェイズへの声援が膨らんだのも、カナダの球団を支持する意味だけでなく、ドジャースに敗れてほしいという感情が重なったからだという。

 ロバーツ監督はスクバル獲得後、「われわれがやったことで、他の誰にもできなかったことは何もない」と語った。だが、他球団にも可能だったとしても実際に決断し、成立させたのはドジャースだった。その事実こそ、畏怖(いふ)と反感を増幅させる。

 大谷、山本らの華やかさに、最強左腕スクバルまで加わった。勝ち続けるほど敵が増え、敵が増えるほど注目度は高まる。ドジャースは今、誰もが見ずにはいられず、誰もが倒してほしいと願う「史上最強の嫌われ者」として10月の主役へ突き進もうとしている。