〝最大の目玉〟を手にできなくても、勝者にはなれる――。レイズのしたたかな一手が、世界一争いの勢力図を塗り替えようとしている。ア・リーグ東地区首位を走るレイズは2日(日本時間3日)、メッツからフレディ・ペラルタ投手(30)をトレードで獲得した。見返りは有望株3人だが、いずれも球団内ランキングのトップ10圏外。育成資産の中核を守りながら、10月の先発候補を確保する〝レイズらしい補強〟となった。

 今夏の市場ではレイズと同地区のヤンキースもタイガースのスクバルを狙っているとささやかれたものの、最大の目玉はドジャースとの商談が成立。米老舗誌「スポーツ・イラストレイテッド」の電子版「ON SI」はレイズも「スクバル獲得に失敗した後」にペラルタへ切り替えたと表現した。ただ、実際にどこまで具体的な交渉へ踏み込んだかは明らかではなく、単純な「争奪戦の敗者」とは言い切れない。

 むしろ注目すべきは、ペラルタ獲得後の評価の跳ね上がり方だ。「ON SI」が紹介した米スポーツブック「ドラフトキングス」の数字では、レイズのワールドシリーズ優勝オッズは+1500から+1200へ上昇。ア・リーグ優勝は+380で2番手、東地区優勝はマイナス145で本命に位置づけられた。

 最大の理由は、先発陣の「量」と「質」を同時に底上げできる点にある。レイズはメジャー屈指のローテーションを形成する一方、先発左腕のマクラナハンが背中の問題で負傷者リスト(IL)入り。終盤戦からポストシーズンまでを見据えれば、主力の負担を分散し、不測の離脱にも備えられる実績派の加入は大きい。

 無論、今季のペラルタはメッツで5勝9敗、防御率4・99と苦しみ、6月のフィリーズ戦では10失点を喫した。それでも昨季はブルワーズで17勝6敗、防御率2・70、176回2/3で204奪三振。2度の球宴選出を誇り、今季も12試合で2失点以下に抑えている。能力が失われたわけではなく、波を小さくできれば短期決戦でも先発を任せられる。

 スクバルのような絶対的エースを力ずくで奪うのではなく、不振で価値を落とした実績派を抑えた対価で獲得し、再生させる。しかも有望株の上位層を温存したため、別の補強へ動く余地も残した。ペラルタが昨季級の姿を取り戻せば、レイズはア・リーグの有力候補から、ドジャースを脅かす「世界一候補」へ――。オッズ急上昇は、その可能性を先取りした数字なのかもしれない。