リーグ2連覇、日本一奪回を目指す阪神・宜野座キャンプに謎のカタカナワードが反響した。

 第4クール最終日となった19日、グラウンドには「ガリ、ガリ、ガリ、ガリ」の声がこだました。投手と内野手、内外野の連係プレーの際の確認の合図なのだが、午前中からいつも以上に大声の「ガリ、ガリ」が聞こえてくることが気になった。

 甲子園を本拠地に持つ阪神にとって、右翼から左翼方向に吹くことの多い浜風の中でフライに対応する能力が必要。1球のミスが勝敗を左右する中、外野手と内野手の間へ上がる微妙な飛球は誰が捕るのか。そこが曖昧なまま実戦に入れば、凡フライが二塁打に化けることもあるため、事前の対策は必須だ。

 サブグラウンドでは投手前のバント処理でもしつこいくらい「ガリ」の声が。メインではノッカーが内外野の間へ意図的にフライを落とし、捕球者のコールを徹底させていた。今季は遊撃に新助っ人・ディベイニーが入る可能性もあり、声出しの共通言語を早い段階で固めたい意図もあったのだろう。

 思い出すのは阪急ブレーブス。中堅には世界の盗塁王・福本豊がおり、1975年に新助っ人の二塁・マルカーノが加入してきた。当時の掛け声は「オーライ」「オッケイ」が一般的で、MLBで使う「ガリ(got it)」は主流ではなかったのだが、そこへ通訳のバルボンさんが福本に提案してきた。

阪急の黄金時代を支えた福本豊氏(右)
阪急の黄金時代を支えた福本豊氏(右)

「フクが捕る時は、マルカーノに『一丁上がり』って言うたったらええ」。この「上がり」がつまり「I GOT IT」。まだNPBでは浸透していなかった英語を、シャレで翻訳して伝えたわけだ。もしや、これが日本プロ野球史上初の「ガリ」かもしれない。

 しかし、満員の甲子園や東京ドームでは三塁手が「ショート!」と指示しても、声だけ聞こえて「ガリ」なのか「OK」なのか「オーライ」なのか分からず、捕ってくれると勘違いする危険性もある。それを防ぐために、捕らない選手は声を出さないというルールも考えられるのだが…。

 どちらにせよ、確認の重要性を藤川阪神は「ガリ」の連呼で刷り込んだ。21日からはオープン戦が始まる。実戦が動き出せば、落ちるか落ちないかの一球を、落とさない準備が生きる日もやってくる。