ドジャースの大谷翔平投手(32)が独走していると見られるナ・リーグMVP争いで、カブスのPCAことピート・クローアームストロング外野手(24)がライバルに急浮上している。

 PCAは8日(日本時間9日)のオリオールズ戦で2本塁打放って21本塁打とし、20本塁打、20盗塁を達成した今季メジャー1号となった。2年連続で前半戦で20―20を達成したのは2002、03年のアルフォンソ・ソリアーノ(ヤンキース)以来だ。この活躍によって選手の勝利貢献度を示すbWARが大谷とPCAは5・6で並んだ。最近のMVP投票でWARは最も重視されているといわれる。

 この数字に地元シカゴのメディアは大興奮だ。地元ラジオ局「104・3・ザ・スコア」は「歴史的だ。数字がすべてを物語っている」と絶賛。「もし昨年後半のような失速がなく、この勢いを8、9月まで維持できればどうなるか」「仮に大谷が腕の問題などでポストシーズンを見据えてペースを落としたり、負傷者リスト入りしたりするようなことがあれば、一気にPCAがMVPになる可能性もある」と期待を寄せた。

 さらに「彼は家に帰っても考えるのは直前の打席のことだけ。その謙虚さも魅力だ」と人柄を評価した上で、「カブスで言えば、サミー・ソーサ以来、これほど熱い選手は見たことがない。それほど長い間、このチームにはこれほど勢いのある選手はいなかった」と、その快進撃をたたえた。

 打撃成績を比べれば、PCAは打率2割9分6厘、21本塁打、52打点、23盗塁、OPS0・930。大谷は打率2割9分、20本塁打、56打点、OPS0・939とそん色ない。しかし、大谷は投手で8勝2敗、防御率1・79とサイ・ヤング賞級だ。

 また、カブス戦を中継する放送局「マーキー・スポーツ・ネットワーク」も「大谷以外なら、ナ・リーグで最も価値のある選手だ」と絶賛。昨季30本塁打、30盗塁を達成したPCAが、今季は打撃、守備、出塁率と「あらゆる面でさらに進化している」と強調した。

 一方、地元以外では依然として「大谷優勢」との見方も根強い。MLBネットワークの人気番組「MLBナウ」では、司会のブライアン・ケニー氏が「打撃成績はほぼ互角。走塁と守備ではPCAが上回る。大谷は投手としての価値もあるが、総合的に見ればこれはレースだ」と主張。しかし、コメンテーターのロブ・パーカー氏は「全然違う。これはレースじゃない」と即座に否定した。

 パーカー氏は「PCAの数字は確かに素晴らしいが、大谷を上回るほど突出しているわけではない。二刀流という唯一無二の価値がある以上、現時点ではまだレースとは言えない」と、大谷優勢の見方を崩さなかった。