足りない戦力を埋めるのではない。余った戦力で未来まで買う――。ナ・リーグ西地区で独走状態にあるドジャースが今夏、異例のトレード戦略に打って出る可能性が浮上した。
米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」のスポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」は9日(日本時間同日)、ケイティ・ウー、ファビアン・アルダヤ両記者によるトレード期限直前の補強分析を掲載した。今季の期限は8月3日午後6時(同4日午前7時)。市場はまだ不透明ながら、球界屈指の戦力を誇る常勝軍団がどのような一手を繰り出すかに注目が集まっている。
両記者の見立てでは「普通に考えれば、ドジャースに明確な補強ポイントはない」。すでに10月のポストシーズンを見据えた陣容が整い、故障者の復帰を急がせる必要もない。スネル、グラスノーらが戻れば先発陣は一段と厚くなり、現在の戦力だけでもブルペンを再編する余地がある。市場で獲得可能な野手にも、後半戦のチームを劇的に変えるほどの存在は少ないという。
球団社長兼野球運営責任者でもあるアンドリュー・フリードマン編成本部長は、特定の年に「すべてを賭ける」発想を取らず、保有権が長く残る有望株を安易に差し出すタイプでもない。次期労使協定や選手登録規則の行方が不透明でも周囲に振り回されず、計算ずくで市場を動かすのがドジャースの流儀だ。それでも、立ち止まるつもりはない。
ウー記者が注目したのが、エリック・ラウアー投手(31)の放出案だ。5月17日(同18日)にブルージェイズから金銭トレードで獲得した左腕は、事実上の6番手として故障者続出のローテーションを支えてきた。一方で今季終了後にFAとなるため、先発投手を求める優勝争いの球団には価値の高い存在となる。
そこでドジャースは、希少な先発陣の厚みを〝売り物〟にし、ラウアーと引き換えに40人枠入りをうかがう選手や上位マイナーの有望株を獲得することを検討する可能性があるという。アルダヤ記者も、3球団間トレードの仲介役に入り、取引を成立させながら次世代の逸材を手にするような創意工夫を予想した。
補強不要の最強軍団が、勝ちながら売って組織の未来まで強くする。市場に動かされるのではなく、市場そのものを動かす――。これぞドジャース流のトレード術となるか。












