勝ったとはいえ、背筋の凍る課題が突きつけられた。巨人は7日の阪神戦(東京ドーム)に4―3で逆転勝ちし、首位攻防戦を制して単独首位に浮上した。ただ、5回まで無安打投球を続けていた戸郷翔征投手(26)が走塁中のアクシデントで緊急降板。接戦をものにした一方で、投手陣の大黒柱に不安を抱える後味の悪さも残った。

 快投から一転、悪夢は5回に訪れた。自身3連勝中と復調著しい戸郷は、この日も立ち上がりから阪神打線を封じ、5回までノーヒット。1―0の5回二死走者なしで打席に入ると阪神先発・高橋の5球目をはじき返したが、打球は三塁への内野ゴロとなった。戸郷は一塁へ全力疾走したものの、ベースを駆け抜けた直後に左太もも裏を痛めた様子で苦悶の表情。そのまま無念の降板となった。

 試合は1―3の7回二死満塁から、代打・坂本が走者一掃の3点適時二塁打を放って再逆転。劇的勝利で阪神を上回ったが、橋上秀樹監督代行(60)は試合後、戸郷について「大事じゃなければいいんですけれども。こればっかりは、これからちょっともう1回確認しないといけないですね」と表情を曇らせた。戸郷自身も「1番は、いい試合をできていたのに、降りたのは申し訳なかった。しっかりまた次に向けて頑張りたい」とチームに詫びた。

走塁後に痛みでしゃがみ込んでしまった巨人・戸郷翔征(中)
走塁後に痛みでしゃがみ込んでしまった巨人・戸郷翔征(中)

 詳細な状態は、8日に病院で検査を受けて判明する見込み。仮に肉離れなら、軽度でも全治1~2週間、長引けば1か月以上を要する可能性がある。今季、完全復活の兆しを見せていた若きエースだけに、長期離脱となれば首位争いを続けるチームにとって計り知れない痛手となる。

 チーム内からは〝全力疾走禁止令〟も飛び出した。チームスタッフは「彼は責任感が強い男だから、打席でも懸命にプレーしたのは伝わる」と戸郷の姿勢を認めた上で「阪神相手にも計算できる貴重な戦力なわけだから、何よりも自分の投球を最優先に考えなくちゃならない。あの場面はリスクを背負ってまで全力で走る場面ではなかったし、今後は同じことを繰り返さないようにしないといけない」と厳しく指摘した。
 チームの勝利を求める責任感が、この日は思わぬ形で裏目に出た。単独首位の歓喜に冷や水を浴びせたエースの負傷。巨人は右腕の最短復帰を祈りながら、しばらく緊張の時間を過ごすことになりそうだ。