阪神・熊谷敬宥内野手(29)が2日の中日戦(バンテリン)でプロ入り8年目、232打席目でキャリア初となる1号本塁打を記録した。これまで代走、守備固めが中心の起用が多い「脇役」ではあるが、価値ある一発で5―3の勝利に貢献。優勝へのマジックを「6」に減らした一撃は〝スーパーサブ脱却〟へののろしとなるのだろうか。
3回だ。一死一塁から佐藤輝の35号2ランで先制すると、続く大山は四球を選び場面は一死一塁。ここで6番・遊撃でスタメンに入った熊谷に打席が回った。相手先発のマラーが投じたフルカウントからの6球目だった。一走・大山がスタートを切り、ランエンドヒットの状況で141キロ低め内寄りカットボールをコンパクトに振り抜いた。
打球は広いバンテリンドームの左翼席に達する1号2ランとなり、リードを4点に広げた。「(カウント)3―2だったんで次につなごうと思って、コンパクトに意識してました」。
言葉とは裏腹な華やかな弾道。左翼席の虎党は沸き上がり、ベンチもお祭りムードだ。藤川球児監督(45)もほほ笑みながら、熊谷がダイヤモンドを一周する姿に視線を向けた。
指揮官は昨年まで守備固め、代走起用が中心だった熊谷を今季からスタメンに抜擢。春季キャンプでは故障で出遅れたが、4月25日に登録すると適材適所でチャンスを与えた。熊谷はそれに応えて結果を残した。得意の守備、走塁だけではなく打っても得点圏打率は4割超え。さらに長打まで打つとなれば、虎将もゲームで使わざるを得ないだろう。
シーズン序盤、藤川監督はこんな言葉を残していた。「30歳を超えてからでもレギュラーを取った選手だって何人もいますから」。誰かを名指ししたわけではないが、まさに熊谷は今年の11月で30歳になるシーズン。リーグ優勝へ向けてチームが盛り上がる中、自身も最高のパフォーマンスで勝利の輪の中心に存在している。
熊谷はお立ち台で自身の一発について「まさか入るとは思わなかった。自分が一番ビックリしている」と照れ笑いを浮かべた。その後の囲み取材では「僕にとっては一日、一日が大事なんで」と表情を引き締めた。謙虚なヒーローが2025年Vのラストスパートを大いに盛り上げている。












