阪神は26日のDeNA戦(横浜)に3―2で逆転勝利し、優勝マジックを14まで減らした。最短なら9月3日にも2年ぶりとなるセ界制覇が決定する。Vロードを急加速中の猛虎では今、球団内外でシーズンMVP候補者をめぐる議論が沸騰している――。
濃密すぎる最終イニング表裏の攻防だった。8回終了時点でわずか1安打無得点とDeNA投手陣に完全に封じ込められていた虎打線は、9回一死無走者の剣が峰から反攻を開始。中野の遊撃内野安打と森下の中前打で一、三塁とし、この日初めて得点圏に走者を進めると4番・佐藤輝の中犠飛で1点差。なおも二死一塁から次打者・大山が8号2ランを右翼席最前列にたたき込み、3―2とスコアを引っ繰り返した。
その裏のマウンドにクローザーとして送り込まれたのは虎ブルペンの切り札・石井大智投手(28)。一死満塁の大ピンチを背負ったが、三森を遊直、神里を中飛に打ち取りゲームセット。バックの好守にも助けられた右腕は自身が保持するNPBレコードの連続無失点記録を「43試合」まで更新した。
今季ここまで46試合に救援登板し、防御率は驚異の0・20。鉄火場のマウンドを乗り切ったポーカーフェースは「安堵です。安堵しました」と、球場裏でようやく少しだけ相好を崩した。
胴上げの瞬間まで秒読み態勢に入った藤川虎。球界最高峰の栄誉とされるシーズンMVP(最優秀選手)の最有力候補はここまで、セの本塁打&打点王レースを独走する佐藤輝を支持する声が圧倒的だった。
だが、ある球団OBは「NPB記録を更新中ということもあり、シーズン終盤に入り、石井の存在感が格段に増してきた。広い甲子園をホームとしながら本塁打王レースを独走する佐藤輝の成績も素晴らしいが、両者ともに遜色ないレベルの活躍を見せてくれている」と指摘。石井もMVPレースの有力な対抗馬であるとの認識を示す。
チーム防御率2・05と質量豊富な投手陣をそろえる阪神においても、若手虎ナインは「石井さんはチームでも一番すごい投手」と背番号69の能力と存在感を称賛。チームスタッフは「リリーバーは〝縁の下の力持ち〟というイメージが強いが、彼の功績が最終的にどのように評価されるかが楽しみでもある」と語っている。
救援投手としてシーズンMVPを獲得した選手はサファテ(2017年=ソフトバンク)、浅尾拓也(11年=中日)、佐々木主浩(1998年=横浜)、江夏豊(79&81年=広島&日本ハム)などごくわずか。球史にその名を刻む大レジェンドたちの列に石井が並ぶことができるかにも注目したい。
佐藤輝と石井は20年ドラフト同期の間柄。4球団競合ドラ1と、12球団最終指名選手となった無名8位右腕の切磋琢磨にはロマンがあふれている。













