今のままでは使う方も悩ましい。ソフトバンクは29日のオリックス戦(京セラ)に4―5の逆転負けを喫した。1点リードの8回から4番手で起用されたロベルト・オスナ投手(31)が先頭から3連打を浴びて2失点。配置転換を受け入れた元守護神が誤算で、5カードぶりの勝ち越しを逃した。

 試合は序盤から失点を重ねた先発・大関が今季最短の4回で降板する劣勢の展開だったが、6回に栗原の3点適時三塁打で追いつき、7回に代打・笹川の適時二塁打で一時勝ち越しに成功した。試合後、小久保監督は「結果的にオスナが打たれて負けた試合にはなったが、野手はいい粘りだった」と振り返った上で「いるメンバーでやるしかない。いないメンバーのことを考えても仕方ない。またやってもらわないと」と、元守護神に猛ハッパをかけた。

 2023年オフに4年総額50億円超(推定)の大型契約を結んだ際に盛り込んだ「抑え限定起用」の付帯条項を双方合意の上で見直したのが、この4月。開幕戦までに球団との協議がまとまらず、一軍メンバーから外れる事態は異例だった。この日が登板3試合目。黒星がついた右腕は「悪いボールじゃなかったが、打った相手が上だった」と語り、「与えられたところで全力を尽くすだけ。ホールドシチュエーションとかは全然意識していなかった」と続けた。

 守護神の地位を失い、昨季から進められた水面下での見直し交渉がまとまらず、2月に来日。「複雑な問題を抱えている」と多くを語らなかったが、メキシコ代表からの再三にわたるWBC出場要請を断って再起に臨んでいた。気持ちが定まらない中で開幕を迎えたことは、本人、球団、柔軟な起用を求める現場のいずれにとっても三者三様に痛恨だった。

 アストロズ時代にセーブ王を獲得するなどメジャー通算155セーブの実力者ゆえのプライドもある。強い自尊心は結果が伴わなければ、時にチームの重荷になる。悪循環を断ち切るには、グラウンドで実力を示すしかない。今のオスナは、富を得ても心が満たされない状態が続いているはずだ。

 歩んできた道が偉大な分、オスナにしか分からない苦悩や葛藤もある。それでも、チームや仲間から寄せられる信頼にこそ価値があることは、MLBで頂点を知る右腕が誰より分かっているだろう。結果で、プロとしての自負を示し続けるしかない。