ヤンキースが、あっさりと〝保険〟を切って未来に枠を渡した。米スポーツ専門局「ESPN」電子版、米移籍情報サイト「MLBトレード・ルーマーズ」など複数の米主要メディアによると、ヤンキースは29日(現地時間)、敵地アーリントンでのレンジャーズ戦を前に、ランデル・グリチェク外野手(34)をDFA(事実上の戦力外)とし、エルマー・ロドリゲス投手(22)を傘下の3Aスクラントン・ウィルクスバリ・レイルライダースから昇格させた。
若手有望株などの情報を発信するサイト「MLBパイプライン」でロドリゲスは球団3位、全体72位に入る有望株。ベテランの右打ち外野手に見切りをつけ、その枠を若い先発候補に振った〝攻めの一手〟だ。
グリチェクは2月25日(日本時間26日)、ヤンキースとマイナー契約を結んでいだ。通算212本塁打、対左投手に強い実績を買われ、左打ちのトレント・グリシャム外野手(29)とのプラトーン、あるいはジェイソン・ドミンゲス外野手(23)ら若手の起用を調整するための「保険要員」と見られていた。
ところが、その切り札候補はあまりにも早く見切りを付けられた。3月21日(日本時間22日)に開幕ロースター入りが決まってから39日、契約から数えてもわずか63日。13年目のベテランは16試合で打率1割9分4厘、4二塁打、本塁打なし。33打席で出塁率2割1分2厘、長打率3割2分3厘、10三振と、本来の役割を果たせなかった。2018年から4年間在籍したブルージェイズでは479試合で95本塁打を放った男だが、名門での猶予は長くなかった。
背景には、ロースター事情もある。ジャンカルロ・スタントン外野手(36)が右ふくらはぎの張りで負傷者リスト(IL)入りし、直近のチームは野手14人、投手12人といういびつな編成になっていた。グリチェクを外し、ロドリゲスを加えたことで投手13人、野手13人に戻り、ブルペンもベンチも整う。単なる戦力外ではなく、枠をどう使うかを問う即断だった。
グリチェクについては今後5日以内にトレード、ウェーバー、解雇のいずれかが選択される。残る年俸は250万ドル(約4億円)規模で、現状の成績を考えれば放出の可能性が高い。ヤンキースはベテランの再生より、有望株の現在地を試す方を選んだ。補強の保険をためらわず切り捨てるあたりに、今季の名門には冷徹な勝負勘がにじんでいる。












