勝ち星を呼び込んでいるのは、持ち前の「左腕の力」だけではないのかもしれない。巨人のドラフト1位・竹丸和幸投手(24)が29日の広島戦(東京ドーム)に先発し、6回94球を投げて6安打2失点。リーグトップタイとなる4勝目を挙げた。その背景に見え隠れするのは、周囲に流されない〝超マイペース〟な素顔だ。
立ち上がりから威風堂々としていた。竹丸は初回を3者連続三振で滑り出すと、4回まで赤ヘル打線を無失点に封じた。4点リードの5回二死から平川に四球を与え、続く2連打で2点を失ったが、そこで崩れないのがこの左腕の強みでもある。後続を断ち、追加点は許さなかった。
2点リードで迎えた6回も、先頭・坂倉に右前打を浴びながら無失点で切り抜けた。試合後の阿部慎之助監督(47)は、苦しい場面を自力で乗り越えた左腕について「最後は自分でしのいで帰ってきましたので。ナイスピッチングでした」と評価した。
ここまで5試合に先発し、防御率1・95。クオリティースタート(QS)も2度達成し、球団64年ぶりとなる新人開幕投手の大役を果たした左腕は、即戦力として確かな足跡を残している。
もっとも、竹丸の魅力はマウンド上の数字だけでは測れない。社会人野球時代から、周囲が驚くほどの「超マイペース」ぶりで知られていた。ドラフト指名を受けた後も、その空気はまったく変わらなかったという。
ある日のこと。竹丸は大きな寝ぐせをつけ、ゆるっとしたジャージー姿のまま野球部の寮から徒歩11分ほどの場所にある某牛丼チェーン店へ向かった。気負いもなければ、肩ひじ張った様子もない。まるで普段通りの散歩に出るような足取りだった。
その姿を見た鷺宮製作所の関係者は、目を白黒させながら驚いた。ドラフト1位選手となれば、どこで誰に見られているか分からない。身なりにも気を配るのが当然と考えたからだ。あまりに飾らない竹丸に対し「お前…。ドラフト1位指名されたんだから、フラフラしちゃダメだろ」と注意したという。
それでも竹丸本人は、どこ吹く風だった。ケロッとした表情で「大丈夫だと思います。僕のこと知らないと思いますよ」と返したというのだから、実に「超マイペース男」らしい。
このエピソードを明かした前出関係者は「マイペースを貫くありのままの性格が、プロ向きなんだなと思いますよ。ぜひ活躍してもらいたいですね」と目を細める。
周囲の視線に過敏にならず、自分のリズムを崩さない。良くも悪くも無頓着で、まさに〝柳に風〟。その自然体こそが、ピンチでも慌てず、淡々と勝ち星を重ねる基盤になっているのかもしれない。ドラ1左腕の底知れぬ魅力は、マウンドの外にもにじみ出ている。












